58 〜松野家〜 ページ15
【おそ松視点】
あれから俺達は、毎日毎日Aを必死に探した。
だけど街には何処にもあいつらの気配がなくって、もしかしたらもうこの赤塚区には居ないんじゃないかと、松野家には不穏な空気が漂っている。
あいつら、もう何日帰ってきてないんだ?
いよいよAの安否が心配になってきた。
何日経ってもAが帰ってこないのにも関わらず、警察は「そうですか、でも成人のお兄さんと一緒なら大丈夫でしょう。
一応、視野には入れておきますね」
なんて大してまともに相手をしてくれない。
何が成人したお兄さんだよ。話がまったく通じてない。
そいつに攫われてるって言うのに。
家族だからって、甘く見すぎだ。あいつがAを妹として見てる訳がない。
そんな奴に連れてかれて、何が大丈夫なんだよ。
そう言ってやりたいけど、現実は上手く行かなかった。
「はぁ〜あ……」
俺は溜息を吐いてちゃぶ台に突っ伏した。
ここまで来るともう打つ手がないと言うか、やるせない気持ちだ。
もっと俺が真面目だったら、少しはマシな展開になっただろうか。今更後ろ向きになっても仕方ないが、一人でいるとどうしても気分が沈む。
「おそ松さん……」
すると、後ろの襖の方から不安げな声がして、振り返る。
「おう、十四松じゃん」
十四松が珍しく表情を曇らせている。こんなに泣きそうな顔をした弟を見たのはいつぶりだろう。
夢を探していたのだろう、今日はどこまで探しに行ったのかはわからないが少し疲れた顔をしている。
俺は頬ずえをつくと、十四松を安心させるように微笑んで手招きした。
「まぁ座れよ」
「うん」
十四松は俺の隣に座ると、いっそう表情が暗くなる。
中々Aが居なくなって何日も見つからないんだから、相当心配なんだろう。俺もそうだ。
もう、居てもたってもいられないくらいに。
それでも俺は落ち込む十四松を少しでも励ましてやりたくて、少し茶化してやろうと考えた。
「こえー顔してんなよ、うりうり」
「……兄さん、ちょ、ちょっといたいっす!」
人差し指で十四松の頬を強めに突つくと、少しはにかんで俺の手を退かしてくる。
俺も「なはは」と曖昧に笑い返してわりーわりーと謝った。
「兄さん!A、帰ってくるっすかね」
そしてまた改まった十四松は、少し俯いて静かに呟いた。
ぜってー帰ってくるぜ。って、そう返して欲しいだろうか。
だけど兄ちゃん、そう言ってやれる自信ねぇよ。
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ぽさ(プロフ) - チョロ松推しさん» Sなカラ松最高ですよね!!ありがとうございます!時間をかけてでも頑張って完結させようと思うので、その時までよろしくお願いします。! (2019年8月6日 13時) (レス) id: 3dce913a48 (このIDを非表示/違反報告)
チョロ松推し - Sなカラ松最高すぎ!もう死んでもいいわ(白目)続き頑張ってくださいね! (2019年8月3日 19時) (レス) id: b11d3bd2ff (このIDを非表示/違反報告)
ぽさ(プロフ) - 夜空さん» ありがとうございます^^*完結できるよう頑張りますね! (2019年7月24日 16時) (レス) id: 3dce913a48 (このIDを非表示/違反報告)
夜空(プロフ) - 頑張ってください続き楽しみに待ってます (2019年7月22日 22時) (レス) id: 2ba1387257 (このIDを非表示/違反報告)
カラ松girl(プロフ) - ぽささん» 楽しみにしてます!! (2019年6月10日 6時) (レス) id: b9685a6c85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽさ | 作成日時:2019年5月27日 16時