五条悟から全力で逃げる婚約者

五条悟から逃げる婚約者八 ページ8

約束は約束だ
破るつもりは私にはない
けど、未練はタラタラではある…が、そうも言ってられない
1秒でも待っておきたくてずっと握っていた彼専用の携帯を離し、側に仕えていた彼女に「鳴っても無視をして処分して」と伝えた
幼い頃から私に仕えてくれた彼女は「…承知しました」と煮え切らない表情で了承してくれた
彼女は私の気持ちを伝えているからきっと心配してくれたのだろうけど、約束は約束だ
その直後、鳴り響いた音楽
「お、お嬢様…！」
「無視よ」
「でも…」
「もう、タイムリミットは過ぎてるから」
ああ、なんて未練がましい…
鳴り響いた音に凄く嬉しくなった
今すぐにでもその携帯に飛びつきたいのを我慢をし、この思いに蓋をする
「直ぐに準備を」
「…はい」
音楽が鳴り止まない
でも、彼も分かっているはず
約束は破られた。あと1秒でもはやく電話が来ていれば
家まで来てくれていれば馬鹿な私は許したかもしれない
本命が誰かを聞きたいところではあるけど、怖い
なんで今日連絡なかったの？と聞きたいけど全部全部、怖いんだ
弱虫な私だから真実から逃げさせて
貴方との婚約は父親が何とかすると言ってくれてます
少しでも貴方の意識の中に私が残ってくれれば満足
だから私は
「ばいばい。」
今日、ここを離れる

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