氷と太陽 [戦刻ナイトブラッド] 続 (ページ12)

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第五十五話ページ12

幸村side

Aが目を覚ましてから城内は賑やかだ。特にAの部屋は。

佐「よがっだー！」

才「よ、ようやぐお、起ぎだな！」

鎌「心配した…！」

天「主ー！」

佐助たちは目に涙を浮かべながらAに抱き着いている。Aは少し困った様なでも嬉しそうな笑みをしている。

正直、羨ましい。でも、みんな今まで空元気だったから良かったかもしれない

『心配かけてごめんね…もう大丈夫だから。だから泣かないで。ね？』

そしてAは俺や兄ちゃんを見ながら、何か思いつた様に口角をあげた

『幸村と信之さんは心配してくれなかったの？』

幸「そ、そんなことあるわけないだろ！？」

之「そうだぞ」

二人してAに反論したら、

『なら、何で佐助たちや天狐みたいに抱きしめてくれないの？』

全員―A「へ？」

A以外全員が鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした

『佐助たちや天狐のお陰で少しは元気になったけど、幸村と信之さんに抱きしめてもらったらきっともっと早く元気になると思うけどな～』

ニヤニヤしながら俺と兄ちゃんを見る。

…Aのところにいる天狐の殺気が怖すぎる

Aはおいでと言わんばかりに腕を広げる。

幸(ええい！どうにでもなれ！)

俺は覚悟を決めてAに抱き着いた

優しい匂いが俺の鼻孔をくすぐった。

男の俺より小さい肩幅。長くて白い髪と肌。少し力を入れれば壊れてしまうかもしれない華奢な体

改めて女の子なんだと自覚した。

幸「…もういいかな？」

そろそろ限界がきた。しかしAは『う～う～ん』と言って俺を抱きしめている腕を外して

『信之さんも』

兄ちゃんは「やれやれ」と言いながらAに抱き着いた。顔をほんのり赤くしながら。

しばらくして満足したのか俺と兄ちゃんを抱きしめている腕を外した。

幸(やっと解放された…///)

嬉しい反面、恥ずかしい…

『ありがとう♪』

いつかのいたずらっ子のような笑みを浮かべるAを見てさらに顔が赤くなったのは言うまでもない。

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日が経つにつれてAの体調も良くなってきた。佐助たちと一緒に蹴鞠をしたり女中の手伝いをしたりしている。

之「変わったな。A」

ふと洗濯物を干しているAを見ながら兄ちゃんが呟いた。

幸「うん…」

初めて会った時とは打って変わって笑顔溢れる、それこそ普通の女の子の様だ。

之「…で、伝えたのか？」

幸「…」