視線、交わる。 (ページ13)

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13話ページ13

「海人〜〜？来たよ」

「今日はすっごく晴れてるよ、暑くて溶けちゃいそう」

「ほら、蝉が鳴いてるの聞こえるかな？」

「少しだけ窓開けよっか！」

少しだけ開けた窓からは生ぬるい風が無機質な部屋に夏を運んでくる。

「海人布団かぶって暑くない？」

「お昼すぎてるしタオルケットに変えよっか」

私には、出来ることが何もなかった。

廉「__________となって、これ代入したら答えがy=x²+6x-23」

　「じゃーこれ平方完成したんを………長谷川」

長「(x+3)²-20」

廉「そうそう」

　「で、これから頂点と軸が分かるから__________」

ずっと塾講師やったから黒板も全員おんなじ制服なんも違和感しかない。

Aはずっとボーッとしてるし次当てたろかほんま

てか、夏休みってこんなに学校あるんや、俺んときこんな夏休み忙しかったかな？

ずっと高1の復習やし、まーそりゃ眠なるわな、苦笑

二次関数なんてA絶対嫌いやん笑

廉「はい、じゃー(3)髙橋答えは？」

「、え、ーーっ、と、」

フリーズしてる笑

焦ってんなーとか他人事みたいに思いながら答えを待つ。

外暑そう、、、

ずっと二次関数だし何言ってるか分かんないし、、、

なんて思いながら窓の外を眺めてたら突然当てられた私。

ニタニタ笑ってくるし、、、本当なんなの

最近仲良くなった真帆も斜め前の席からニヤニヤして見てくる。

分かる？って口パクしても分からない、と言うかのように首を横に振っている。

「………わかりません、」

廉「…………じゃ一緒に見ていこか」

3秒ほど目が合った後くるりと黒板の方を向いて授業を再開する廉。

塾だったら“A”って呼んで当ててくれてたのに、今は“髙橋”、か。

ちっぽけな変化かもしれないけど少し距離が遠くなった気がした。