そして、青空へ墜ちていく (ページ20)

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本当は、２人はお互いに１人の時間が欲しいと思っていた。

――救済――神崎昌のその言葉は２人の関心を引き付けるのに十分すぎる効果があったのだ。
それから新たに届いた、段ボールに入っていた神崎からのメッセージ。

決して見られたくなかった。

救済してほしい内容は、自分達の奥底に漂う澱みに違いないとだと直感していた。そしてその澱みは自分達を形作る根幹をも侵食しているのだ。
それを、しかも同じものをもつだろう相手に見せることも、自分がそれを見ることもしたくなかった。

だから２人はその封筒のことをあえて話すことはしなかったのだ。

瀬戸は扉を閉めると一目散に段ボールの中のクリアファイルから封筒を取り出した。
ぱさぱさと、一緒に挟んでいた用紙が床に落ちるのを気にも留めず、半ば破り捨てるように封筒を開けていく。

藤本は閉めた扉に凭れながらずるずると床に座り込み、じっと自分の運んだ段ボールを見つめていた。
ポケットから封筒を取り出す。さっき調べていた時に、瀬戸に勝手に持って行かれることを考えてこっそり抜き取っていたものだった。それをゆっくりと慎重に開いていく。

２人は確信を得ることになる。

神崎昌の言う『救済』がその澱みに深く関係していることを。

『瀬戸菜々緒
　手紙の真実は立海大学付属中学校にある』

『藤本正史
　妹の死の真相は青春学園中等部にある』