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ピンポンとチャイムが鳴る
２人は体を固くした。
「あそこにインターフォンがあるんだ」そう言って藤本がカウンターキッチンの方に向かう。瀬戸も後に続いた。
インターフォンの画面に映るのは若い男性がキャップを被っている。
「どなたですか？」通話ボタンを押し、恐る恐る尋ねると相手は「宅急便です、藤本さんのお宅で間違えないでしょうか？」と快活そうな声で返答した。
「藤本――？ ここ藤本の家ってこと？」瀬戸が尋ねる。
「そうみたい、マンションの表札が藤本だったよ。ま、俺は全く知らないけどね。」はいと返し、ロック解除をしてから藤本は瀬戸に答えた。
しばらくしてチャイムが鳴る。
２人が玄関の扉を開けると、配達人の若い男性は２つの大きな段ボールを抱えて扉が開くのを待っていた。
「ちょっと重たいから玄関んとこ置いとくんでー。あ、サインかハンコって持ってるー？」
配達人の男性は先ほどのインターフォンでのやりとりとは明らかに変わって間延びしたやる気のない声で、そう言った。
２人は一瞬顔を見合わせたが、男性に再度促されたため、藤本が代表し男性の持つ伝票にサインを書く。
「じゃーこれでー」
サインをもらうと配達人の男性は笑顔でそう言って部屋から出て行った。
「何あいつ、いくらなんでも失礼すぎだろ。くそ、一言嫌味言ってやればよかった」
終始ぽかんとしている瀬戸を後目に藤本は先ほどの配達人の態度に悪態をつく。
ぶつぶつと文句を言いながら段ボールの口を閉じているガムテープをびりびりと剥がし、段ボールを開ける。
「……は？」
藤本は中身を見て、おもわずそんな間の抜けた声を出してしまった。
その声に我に帰った瀬戸が藤本の開けた段ボールの中身を覗く。
その一番上に入っていたのは―――――『藤本 正史様 青春学園中等部 転校手続き』と書かれたA４用紙の入ったクリアファイルだった。
「青春学園――中等部？」
「転校？ 藤本が？」
２人で顔を見合わせる。
そして、２人同時に声を上げた。
「「どういうこと！？」」
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作者名：s42s4nj3ts3 | 作成日時：2017年3月27日 12時
