頭の中の香り

36 ページ36

そこにはAの手首を
左手で掴んでいる男が見えた

と｢何やってんだよ！｣

大声で叫びながら近づきAを男から離す



Aは俺の背中で服を掴み震えていた


男｢君はAのなんだね
Aは僕の事を好きなんだ｣

と｢は？｣

意味のわからない事を言い出す男
イライラとかじゃ収まらないこの気持ち

と｢知り合い？｣
出来る限り落ち着いた声で
問いかけるがまだ震えているA


下を向きながらゆっくり首を横に振る


男｢なんで！あの時駅で
定期落ちましたよ！って
拾ってくれたじゃないか
笑いかけてくれたじゃないか！｣


と｢は？そんなん人として当たり前だろ
Aはお前の事知ら無いって言ってんだよ｣

男｢だからあの日から僕は
Aの帰りを
どんなに遅くなっても駅で待って
無事に家に着くまで送ってあげていたのに
Aは僕と付き合っているのに
なのに僕じゃない男の助手席に乗るなんて
許さないよ
お仕置をしようとしたのに
僕の邪魔をするなーーー！｣


とち狂ったように叫ぶ男は
ポケットからカッターを取り出し俺に向ける

37→←35

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す