真冬ver ページ49
「………え、僕…？」
彼は驚いた様に目をぱちぱちさせた。そうだよ、あんただよ。
「え？？」って…そんな驚かないで欲しいんだけど。こっちが恥ずかしくなるではないか。
『………文句ありますか』
すると「ありません」と即答。
一方彼方はしょうがないと言って無言で立ち去ろうとしていた。それも何か私が嫌なので一応声を掛ける。
『彼方！えーーと…これからもずっと、宜しく……お願いします…』
ズボンのポケットに手を突っ込んだままこちらをちらりと見る。うん、と目を細めて笑う彼。でも私には分かるんだ。少し、眉が寄っている事に。
「………A、変わったね」
『……え？』
けど、彼は直ぐに前を向き、私達の前からいなくなった。
変わった…？って、何が？
彼方が立ち去った今、暫くの沈黙。それに耐え切れず真冬は口を切る。
「…えーー…と……こういう時ってどうすれば良いのか分からないね」
『分からないって…今まで散々アタックして来たじゃん。何言ってんの』
そっか…と困った様に笑う彼をじっ…と見つめると、「ななな何？」と戸惑い始めた。
まさか、本当に好きになるとは思ってもいなかったから自分でも驚いてるのだ。だって、有り得ないし。
…という事を説明するとにこっと優しい笑顔に。
「僕、頑張ったもん。諦めなくて良かった」
『…………諦める？』
「本当はちょっと挫けてたんだよ〜」って……嘘つけ。いつでもどこでも下ネタ吐いてひたすらアタックしてたじゃん。
……でも、真冬は真冬なりに、何か…考えてたの、かも。
『……これからは恋人って事になるんだよ』
「うん、そだね。Aと、恋人だ」
自然と指を絡めて来る彼に私は抵抗しない。私もその手をぎゅっ、と握る。
一瞬驚いた顔をしたが直ぐに白い歯を見せはにかんだ。
『…』
「…」
………だ、駄目だ…。何か痒い。何かが痒い。
段々と自分に熱が籠るのが分かってそれに耐え切れなくなる。
『だ、だぁぁっ！駄目駄目！無理！』
「え？」
「恥ずかしいわ！」と声を上げてその手を振り払うがあははと呑気に笑っている。
真冬の事だからまた手を握って来るのかと思って構えていたが、それは来なかった。
その代わりに、私自身が引き寄せられ彼の胸へと飛び込む。
「……離れないで。絶対」
力強い彼の腕の中で私は、「馬鹿じゃないの」と照れ隠しをした。
終わり
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いるよ - 関係ないはずなのに、AftertheRainと繋がってる細かさが、とても好きでした。この作品が私は好きです。素晴らしい完結をありがとうございました！ (2022年12月8日 21時) (
レス) id: 7464634473 (このIDを非表示/違反報告)
牡丹一華。(プロフ) - あっっ、そらるさんver.……。 (2021年1月20日 16時) (レス) id: 463bf9fb63 (このIDを非表示/違反報告)
ヒカリ - 申請はしました！ひなのという者です (2020年8月6日 11時) (レス) id: 2e2545cf28 (このIDを非表示/違反報告)
ヒカリ - 申請はしました！ひなのという者です (2020年8月6日 11時) (レス) id: 2e2545cf28 (このIDを非表示/違反報告)
ヒカリ - 凄く面白かったです！あの、恋乱やってますか？やっていたら姫友＆くのいち仲間になって欲しいです！ (2020年8月6日 10時) (レス) id: 2e2545cf28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：non x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/ryou/
作成日時：2017年11月25日 21時
