第124話 変化 ページ44
デイビッドside
ニンゲンは、ボクから両親を奪った。この世界から、希望を奪った。
ニンゲンはボクたちから大切なものを奪う、憎むべき存在なのだ。
ずっと、そう思い込んでいた。
――お願い、やめてフラウィ！
それなのに、あのニンゲンは……彼女は、あの時、自分の危険など顧みずにフラウィを捨て身で止めた。
‟すべてのニンゲンが悪い訳じゃない。良いニンゲンだっている”
その瞬間、かつて両親が言っていたその言葉が、ボクの脳裏によぎった。その言葉通り、彼女は本当に最初から最後まで平和主義を貫いてみせたのだ。
.
アズゴア様と女王に抱き締められ、力なく俯くフラウィへ、ニンゲンが小瓶からソウルを取り出し、そっと差し出した。ソウルはふわりと宙へ浮かび、暖かな光を発して彼を包み込んだ。
そして、奇跡は起こった。
「父さん、母さん……！」
なんと、光が収束し現れたのは、小さなヤギの子どもだったのだ。彼は大きな瞳に涙を溜めている。
「！ アズリエル……！」
「戻ってきてくれたんだな、アズリエル……！ ああ、良かった……！」
アズゴア様と女王は、信じられないとばかりに目を見開いてから、涙を流し、本当に嬉しそうに彼に抱きついた。その瞬間、周囲は歓声に包まれた。
「こんな、ことが……」
「……なあ、デイビッド」
隣に立っていたアンダインは、呆然と呟いたボクに振り向き、真剣な表情で言った。
「私がAを襲ってしまったのは、ニンゲンは皆悪い奴だという先入観に囚われていたからなんだ。……お前も、きっとそうなんじゃないか？」
彼女の言葉に、ボクはフラウィ……アズリエル王子を見て嬉しそうに涙を流すニンゲンを見つめた。あんなことがあったにも関わらず、彼を想うその姿勢は、まさに‟お人好し”と言わざるを得ない。
「……悔しいけど、認めるよ」
「そうか……なら」
「うわっ！」
彼女は歯を見せて笑い、ボクの背を強く押した。
「お前も一先ず、Aたちと話してこい！ ……ニンゲンを恨んでた私でも、理解し合えたんだ。お前にだってできる筈だ！」
「な……」
相変わらず強引な提案に躊躇していると、ニンゲンが遠慮がちにこちらを見ていることに気が付いた。
ボクは暫く逡巡してから、意を決して彼女に近付くのだった――
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かしわ(プロフ) - ラヴさん» ラヴ様 長期間お待たせしてしまったにも関わらず、暖かいお言葉で迎えて下さり、大変恐縮です……！ このような私をご心配頂いて、本当にありがとうございます！ これからこつこつと更新頑張って参ります！ (2022年6月5日 11時) (
レス) id: c5e96d2eaa (このIDを非表示/違反報告)
かしわ(プロフ) - もちりのさん» もちりの様、初めまして。長い間お待たせしてしまい、本当に申し訳ありませんでした。大好きだなんて言って頂けて、激励のお言葉まで……とても嬉しいです。ありがとうございます！こつこつと更新していければと思います！ (2022年6月5日 11時) (レス) id: c5e96d2eaa (このIDを非表示/違反報告)
かしわ(プロフ) - レーニャンさん» レーニャン様 会話になってしまうかもと思い、返信を避けてしまいましたが、やはり返信させてください。 本当にお待たせしてしまい申し訳ございませんでした。激励のお言葉痛み入ります、ありがとうございます！これからこつこつと更新できればと思います……！ (2022年6月5日 11時) (レス) @page45 id: c5e96d2eaa (このIDを非表示/違反報告)
ラヴ(プロフ) - お帰りなさい！クラムチャウダー改めラヴでございます。停まっていて､とても心配しておりました…お戻りになられてとても嬉しいです！ご無理のないようお気をつけ下さい。応援しております( ¨̮ ) (2022年6月5日 0時) (レス) id: 906f0fe218 (このIDを非表示/違反報告)
もちりの(プロフ) - 初コメ失礼します。この作品見る専だった時から大好きで…無理はしないでくださいね！更新頑張ってください！ (2022年6月4日 6時) (レス) id: 8fca6226df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かしわ | 作成日時：2021年8月23日 7時
