第121話 託された遺志 ページ41
Aside
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「A。聞いて欲しいことがある。お前さんのソウルについてだ」
サンズから、私のソウルの力の秘密について明かされたのは、パピルスたちに説明を終えた後のことだった。
『そっか……。私はその二人のお陰で、魔法を使えるんだね』
デイビッドの両親は、自分たちの命を削ってまで研究を進めた。地下世界の解放、そして私たちニンゲンとモンスターの共存の未来を築くために。
しかし、彼らはニンゲンの残した兵器で、命を落としてしまった。
運命はなんて、なんて残酷なのだろうか。
彼らのような人たちこそ、幸せになって欲しかったのに。
そう考えてしまうと堪らなく悔しくて、涙を零した私に、サンズは言ってくれた。
「なあ、A。起きてしまったことは確かに残酷だったかもしれないが、それでも二人はきっと不幸じゃないと思うぜ。少なくとも、二人の力が受け継がれたのが、悪人なんかじゃなくて、お前さんのような良いニンゲンだったんだからな」
『サンズ……』
「平和な未来が実現すれば、きっと二人だって報われてくれる筈さ。そう考えてみないか?」
『うん……私、絶対に二人の夢を叶えたい……!』
ニンゲンを信じて託してくれたこの命を、絶対に無為になんてしない。
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トリエルさんたちに向き合い、私は静かに瞳を閉じた。
お二人の力、使わせていただきます――
私の中できっと見てくれている‟二人”に、心の中でそう伝えながら意識を集中させた。
光が二人を包み込み、暫くして……白く輝くソウルが掌の上に現れた。
成功できた安堵で体から力が抜け、よろめいた私をトリエルさんが支えてくれた。
「A、大丈夫……!?」
『すみません……私は大丈夫です!それより、お二人の方が……』
ソウルを削られた二人の負担は大きい筈だ。しかし、苦しい表情を少しも見せることなく、二人は笑顔を返してくれた。
「心配しなくていい。これでも、私たちはボスモンスターだからね。それに……アズリエルの為なら、寿命が少しくらい縮んだって惜しくはないよ」
アズゴアさんは、目を細めて呟いた。その時、背後で足音が聞こえて振り返ると、サンズが私たちを迎えに来ていた。
「さあ行こう、皆!」
アズゴアさんを先頭に、私たちは部屋を後にした。
待っていてね、フラウィ。
小瓶にしまったソウルを大切に握り締めながら、私は強くケツイを抱いた――
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かしわ(プロフ) - ラヴさん» ラヴ様 長期間お待たせしてしまったにも関わらず、暖かいお言葉で迎えて下さり、大変恐縮です……! このような私をご心配頂いて、本当にありがとうございます! これからこつこつと更新頑張って参ります! (2022年6月5日 11時) (レス) id: c5e96d2eaa (このIDを非表示/違反報告)
かしわ(プロフ) - もちりのさん» もちりの様、初めまして。長い間お待たせしてしまい、本当に申し訳ありませんでした。大好きだなんて言って頂けて、激励のお言葉まで……とても嬉しいです。ありがとうございます!こつこつと更新していければと思います! (2022年6月5日 11時) (レス) id: c5e96d2eaa (このIDを非表示/違反報告)
かしわ(プロフ) - レーニャンさん» レーニャン様 会話になってしまうかもと思い、返信を避けてしまいましたが、やはり返信させてください。 本当にお待たせしてしまい申し訳ございませんでした。激励のお言葉痛み入ります、ありがとうございます!これからこつこつと更新できればと思います……! (2022年6月5日 11時) (レス) @page45 id: c5e96d2eaa (このIDを非表示/違反報告)
ラヴ(プロフ) - お帰りなさい!クラムチャウダー改めラヴでございます。停まっていて、とても心配しておりました…お戻りになられてとても嬉しいです!ご無理のないようお気をつけ下さい。応援しております( ¨̮ ) (2022年6月5日 0時) (レス) id: 906f0fe218 (このIDを非表示/違反報告)
もちりの(プロフ) - 初コメ失礼します。この作品見る専だった時から大好きで…無理はしないでくださいね!更新頑張ってください! (2022年6月4日 6時) (レス) id: 8fca6226df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かしわ | 作成日時:2021年8月23日 7時