ニンゲンが地下世界に“召喚”されました…！？ <３>【UNDERTALE 長編夢小説】

第85話 王 ページ1

アズゴアside


「私は…これまでの自分の行いをとても後悔している。結局、復讐の果てに私に残されたのは、悲しみだけだ…。そしてあの子もまた、かつての私と同じ強い復讐心に囚われた目をしている」



ニンゲンの残した兵器により愛する両親を目の前で失った彼は、彼らに強い恨みの感情を持つようになった。彼はその頃からずっと、それに囚われたまま成長してきた。



「しかし…あれは不慮の事故だった。ニンゲンが直接手を下した訳ではない。あの子には、私と同じ過ちを繰り返して欲しくないんだ。だから…お願いだ。あの子からニンゲンを救い、そして、あの子を止めるのを手伝って欲しい…！」

「王…」

「アズゴア…頭を上げてください！」



アルフィーが近付き、私の頭をそっと上げさせた。そして、次に私の目に映った彼らの表情は、力強く逞しい笑顔だった。



「王。もう大丈夫そうなので正直に言います。実は…私たちはそのことで既に協力し合っているんです」

「…！それは、本当かい…？」



彼の言葉に、私は耳を疑った。しかし、彼に続けてアルフィーも頷いた。



「そっ、そうなんです…！その、怒られるかと思って、ずっと言えてなかったのですが…。実は、アンダインやパピルスに、メタトンまで、皆が協力してくれて…Aたちを彼から守っていたんです！」

「そう、か…。……ハハ、そうだったんだね。……良かった」



張り詰めていた体から力が抜け、私は音を立てて椅子にもたれかかった。震える瞳からは、熱い雫が今にも零れそうで、私は俯いてそれを誤魔化した。



「…今夜、私はあの子に説得を試みる。でも、私は公には動くことができない。地下世界からの解放を心待ちにする民の皆を、混乱させてしまうのは避けたいんだ」



すると彼らは力強く頷いた。



「ええ、わかっています。私たちはあくまで…‟謀反者”として、好きに振舞わせてもらうつもりです」

「私も彼の監視を続けます！ニンゲンに近付かせないようにする為に…！」

「…！ ありがとう…サンズ君、アルフィー。本当に、ありがとう……！！」



彼らには、実験のことでも辛い思いをさせてしまった。
それでも彼らは、こんな私に笑って手を差し伸べてくれる。


彼らの気持ちを胸に熱く抱き、私は決意した。

もう二度と、皆を悲しみの渦に染めたくはない。間違ったのならそれを正し、罪と向き合い…そして、彼らと共に皆を希望のある未来へと導こう。

この世界を統べる王として――！

第86話 突破口→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す