・ ページ11
・
あれから待てど暮らせど返事は来ず、そろそろ俺の家の辺りを回る頃かな？と思っていた時間も過ぎて。
ああ、やってもうたかな。
舞い上がってたんは俺だけやったんかも。恥ずかしい…
貴方からの返事を待ってる、つけっぱなしの画面がユラユラと揺れる。
こんなくらいで泣けてくるなんて、俺はほんまに重岡さんが好きなんや。
苦しいなぁ……
ぼーっと窓の外を見つめて、雲の流れを見ていればチャイムの音。
緑「っ、重岡さん…？」
急いで袖で目元を拭って、バタバタとインターホンを覗けば彼の姿。
震える声を抑えながら、はーいと返事すればお届け物です！と元気な声。
もしかしたらこれが最後になるのかも。なんて思いながらドアを開ける。
赤「遅なってすんません！こちら、お荷物でーす！」
緑「はいっ、ありがとです。えと…じゃあご苦労様です、！」
受け取り、居てもたってもいられずにドアを閉めようとすれば
赤「へあっ！？なんで！？一緒に飯いくんちゃうかったっけ！？アレ！？俺の妄想？」
なんてポケットからスマホを取り出して画面と睨めっこ。
緑「やって、その…返事、来やんかったから…」
赤「………だっ、アホや！送信せんと…見て！送信ボタン押さんまま来てもうたんや！すまん！！！」
画面を見せられれば打ちっぱなしの文が送信されず残ってる。
なんだか力が抜けて、その場にしゃがみ込んでしまう。
緑「はぁぁ……もぉ…重岡さんの、あほっ……」
ぐすぐすと鼻をすすれば慌てふためく貴方の声色。
赤「あぁっ、ごめん神山君…！お誘い嬉しくて勢いで打ったまま出発してもうて、」
そう言われた後、暖かい体温に包まれて。
一瞬、なんだか分からんかったけど、重岡さんに抱き締められてるんだと分かった。
緑「重岡さん…？」
赤「……ごめ、人目つくよな。ちょっとだけ…入れて。」
しゃがみこんでた俺をゆっくり立ち上がらせて、玄関の中に2人。
ドアがバタン、とゆっくり閉まって、ふたりっきり。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 136人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：だてこーん | 作成日時：2024年2月17日 16時
