７つの恋のお話

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「お待たせしました〜」






コトン、と目の前に置かれた
桃のケーキ改め、桃のタルト。

あぁ、良い匂い、って思うのは
マスター改め、彼女のお父様が淹れたコーヒー。





ごゆっくり。
そう言った彼女は俺の傍を離れる。



え、もっと居てよ。
俺ともお話しようよ。



…なにこれ、恋する乙女じゃん俺。






口に寄せるカップから香るのは
飲む前から既に美味しい事を知らせて。






数「うまっ」






口にするとやっぱり美味しかった。




フォークで取るひと口分のケーキ

甘すぎないそれはほんのり酸っぱくて






数「うまっ」






恋みたいに甘酸っぱい


あ、なんか、歌詞とか書けそう(笑)









「美味しい？美味しい？」








いつの間にか隣に立っていた彼女にビックリして身体を揺らせば


キラキラした目が降り注ぐ



あ、その顔、ずっと見ていたい


心は、キュンどころの騒ぎではない









.




数「美味しい。何個でも食べれそう」

「お土産に何個か用意しておきますねっ！！」








ふわふわ、と少し浮いているんじゃないかってくらい
跳ねながら、サラリーマンの方へ向かった彼女はとびきりの笑顔で









「美味しいって！」

『たまたまでしょ(笑)』

『なんだっけ、あのさ、ほら、あれ』

『あぁ！バナナのスコーンね(笑)あれはめっちゃ不味かった(笑)』

「…お父さん、この２人出禁にする？」

父「何言ってんだ！大事なお客様だろうが！外掃除でもして来い！」

『やーい、怒られてやんの(笑)』

「ふんっ」

『あー、拗ねちゃった(笑)』





ほっぺたを膨らませたまま彼女はほうきとちりとりを手に外へ。


店内には野郎のみ。


でもどこを見渡してもみんなが彼女の後姿を見て微笑んでいて

愛されてるんだな、なんて。





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