７つの恋のお話

関口 ページ31

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俺が君と初めて会話したのは



高校の入学式だった。





中高一貫なそこに、高校から飛び込んだ俺は


右を見ても左を見ても

知らない顔、知らない顔。




体だけは人よりでかいくせに、小心者な俺は


ここでやっていけるか、正直、不安しかなかった。





ひそひそ聞こえる声は



『お前話しかけてみろよ』
『むり！俺英語苦手！』



そんな言葉ばかり。





…ごめんね、期待外れにも俺は、日本語がペラペラなんだ。


なんてのも、小心者すぎて言葉にできずにいた。








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「Hey!Boy!」





そんな中、陽気に声をかけてきたのが君で



なに、へいぼーい、って(笑)









メ「…申し訳ないんだけど俺、日本語しか話せないんだ」






この日初めて口を開いた俺に

君も、周りも、目を見開いて口を開けて。



その零れそうな瞳はどうしたら元に戻るのか、なんて思っていたら







「なんか、ゴリラに似てるね」







君のその一言に周りがドッと沸いて



ねぇ名前なんて言うのー？って

いつの間にか俺の周りには沢山人が居て



ひとりぼっちにならなくて済んだのは



君のおかげだった。









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相川、小野、木下、関口、


男子だけでも田中くんが８人もいるこのクラスで

名簿番号は４番なのに、縦に６人の列なのに


回された１番後ろの席。




『メンディーでけぇんだから１番後ろ！』




高校生活初日から呼び捨てにされた名前に

嬉しさしか、なかった。

外部からの人間、な俺をすぐに受け入れてくれたこのクラスが、好きだと思った。





でかいから、その理由で後ろに回されるのは昔から。


慣れてるし、別に嫌じゃない。


寧ろ、俺のせいで黒板見えないよね？ごめんね？、な気持ちしかない。







１番後ろの席に移動すると、そこは君の隣で。







「私もね、でかいから後ろに回されちゃうんだ(笑)」






俺よりは小さいけど
女子からしたら背の高い彼女はよく見ると


すらっとした手足が長くて
前下がりなショートカットが似合う

さすがバスケ部エース、そんな子だった。





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