4話[影山side] ページ5
烏野に入学して、無事にバレー部に入ることも出来た。入るまでに色々あったけど。
部活に向かう途中で菅原さんとばったり出くわした。色々と話を聞いてもらったりしながら道を歩いていたとき、俺は自分の目を疑った。
ここにいるはずのない彼女の姿を見かけたからだ。兄の及川さんがいる青城に行ってるんだとばかり思っていた。
なんで烏野にいるんだと心の中で問いかけても、当たり前だが返事は返ってこない。
「影山ー?どうした??」
もう姿は見えなくなったのにずっとAがいた場所を見続けていたら、菅原さんが不思議そうに話しかけてきた。なんて答えようか迷って……「すみません、何でもないです。」と言葉を紡いだ。
Aを見かけたせいなのか、今日の俺は些細なミスを繰り返していた……みたいだ。
日向に「なーんか気持ち悪いんだよなー…今日の影山のトス。」と言われてしまい、「そんなわけあるか、ボケェ!!」と反論したものの、「いーや!なんかいつもと違う!!」と断言された。自分では気付かなかったものの、「いつもドンピシャなところにくるのに今日はふにゅんって!とにかく気持ち悪い!!」とよく分からない説明を受けた。
澤村さん達にも心配されてしまったので、気合を入れ直して残りの練習を続けた。
部活終わり、部員みんなで坂ノ下商店に向かった。そこで菅原さんに肉まんを奢ってもらい、そんなに心配をかけたのかと少し申し訳なく思ってしまう。
「なんか悩み事か?口に出しちゃった方がスッキリすると思うし、良ければ話聞くよ?」
「……大したことじゃないんですけど。」
本当に大したことない。元カノの姿を、いるはずのない烏野で見かけて驚いた。ただそれだけだ。だから素直に不調の原因と思われる今日の事を話した。
「……青城に入学したと思ってた元カノが、烏野に入学してたみたいで。それで動揺したのかもしれないっす。すみません。」
「なんだー!そっか!元カノが………えっ!?」
驚いたような声が聞こえて、ぺこりと下げてた頭を上げると部員全員が目を見開いていた。何人かは叫んでいる。なんだこの状況。「お前!彼女いたのか!!中学生の時にか!!」と田中さんに詰め寄られた。澤村さんが「止めなさい、田中!」と襟首掴んで戻してくれた。
何が何だか分からないけど、あっちこっちで頭を抱えてたり放心状態だったりと周りが忙しい。
そんなに俺に彼女がいたことが意外なのか?
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作者名:灰次 | 作成日時:2019年6月28日 10時