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3話 ページ4

志望校を決めるとき、私は迷っていた。

兄のいる青葉城西。
学力的にも挑戦範囲内の白鳥沢。
友達が多く志望している烏野。





きっと飛雄くんは青葉城西に行くだろう。
誘われているという話も小耳に挟んでいた。


結局、白鳥沢と烏野を受験。
兄からは最後まで「青城に来い」と言われていたが、どうしても飛雄くんと会うのが怖くて逃げてしまった。

無事に両校とも合格して、いよいよ最終決定の時。





私は、烏野を選んだ。






―――――――――――――――――――





入学式も無事に終えて、母と一緒に帰路に着く。
私は家に帰って早く知りたかった。
式の途中で見かけた元カレの姿。
他人の空似だよ。
だって、飛雄くんは青城に行ったはず。
居るわけない。





_及川家



急いで階段を駆け上がって、兄の部屋の扉をノックする。「はーい」と緩い返事が返ってきて扉が開かれる。ドアノブに手をかけたまま、兄は首を傾げた。




「なーに?A。なんか用?」


「お兄ちゃん。
……飛雄くんって青城に入学したんじゃないの?」



そう口にした瞬間、お兄ちゃんは顔を少し歪ませて「飛雄ちゃん?あいつは烏野に行ったはずだよ」と答えた。



「あー。もしかしてもう飛雄ちゃんに会ったの?
だからお前は青城に来いって言ったろ?」



お兄ちゃんの言葉に口が塞がらない。
飛雄くんが烏野に入学するって知ってたんなら教えてくれてもよくない??段々腹立ってきた。



「何で教えてくれなかったの!?
飛雄くんが烏野に行くって知ってたら、青城か白鳥沢に行ったのに!」


「Aも飛雄が烏野に行くの知ってて、会いたいからこそ選んだのかと思ったんだよ。それならお好きにどうぞーって思って見守ってたの!」



口をいーって形にして私に言葉をぶつけてくる。
絶対ウソ!この人見守るなんてことできる人じゃないもん、確実に私への嫌がらせだとしか思えない!



「…っ!そうですかっ!!」



入学してしまったものは、仕方ない。
バレー部に関わらなければ、烏野は生徒数も多いし飛雄くんと会う機会なんてないはずだ!
気分を切り替えて高校生活、楽しむ!




―――――――――――――――


「お前にまたバカみたいに笑ってほしいから飛雄のとこにやったんだよ、ばーか。」


そう呟く兄の声は誰にも届くことはなかった。

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作者名:灰次 | 作成日時:2019年6月28日 10時

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