22話[影山side] ページ23
日向と衝突した。
俺の方が正論なはずなのに、なんであいつはあんなに。くそっ、一日経ったのにイライラする。
完全に行き詰まってる状態の中、Aに昼ご飯を一緒にどうかと誘われた。
少しバレーの事を考えるのを止めようと、誘いに乗って屋上へと来た。まぁ結局止められなかったけど。Aが気遣って喋ってくれてるのは分かってたけど、生返事しか出来なかった。
すごく美味しいとは言い難いパンを心ここにあらずで食べていると、「バレー部で何かあった?」と聞かれた。当てられて思わず体が揺れた。
「良かったら話だけでも聞くよ?言ってスッキリすることもあると思うし。」
そう言われたけど、Aにバレーのプレーや技術面での悩みを言っても伝わらない気がした。経験者でないと分からないことが多いからだ。一から説明して話すのも時間がかかるし、今は少しでもアドバイスが欲しかった。変に心配をかけたくはなかったし。Aはただ横で笑ってくれてればそれだけで良い。バレーのことはこっちで何とか解決する。
「……Aに話して何かが変わると思えない。
これは俺の問題だ。Aには何も関係ない。」
Aが何も気にすることはない。
多分こういう悩みだって成長には必要なこと……だと思うし、絶対乗り越える。そのために、とりあえず放課後はバレーボール教室に行ってみよう。そんな風に考えていた時だった。なぜか涙を一筋流しながら、「ごめん、余計なこと言った。」と伝えてくるAの姿があった。
「……なんでAが泣くんだ?
泣くような場面だったか?今。」
本当に分からない。なんで泣く?俺が原因なのか?そんな酷いこと言った覚えなんてない。ぎゅっと目を瞑って手の甲で涙を拭ったAは、「しばらく、会わないでおくね。」そう言って屋上を後にした。
___しばらく会わないでおくね。
何でこんなことになったのか。
心配する必要はない、そう伝えたのに。
このあともう少し他愛もない話をして、いつものように笑って「またね」と言うはずだった。
何がAを悲しませたんだ?
バレーのことですでにパンクしそうだった頭は、一度考えることを止めた。
先に日向とのことを解決する。
そうしないと無意味な気がした。
この場には俺とAしかいなかったのだから、多分悪いのは俺なんだろう。
悪いことって続くんだな。
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作者名:灰次 | 作成日時:2019年6月28日 10時