19話 ページ20
飛雄くんから、「終わった。いま部室。」という連絡をもらった。急いで図書室から出る。
待ち時間はいつも予習復習に使っているので、自分的には有効な使い方だと思っている。
部室前へと向かって、飛雄くんが出てくるのを待っているとガヤガヤと声が聞こえ始めた。
パチっと視線があった。あの人は確か、菅原さん。
「あれ？Aちゃんだったよね？」
「あ、はい！
菅原さん、澤村さん、東峰さん、こんばんは。」
「こんばんは！
名前覚えててくれたんだな？嬉しいよー！」
先輩たちが一緒に出てきて、少し慌てた。
名前間違ってなくて良かった。
それにしても、バレー部の皆さんはやっぱり背が高いな。そんなことを考えてたら、東峰さんに話しかけられた。
「影山待ってるんだよな？」
「旭ー、影山以外を待ってたら修羅場だべ？」
「影山怒ると怖いもんな、あの顔は怖い。」
「…旭、後ろ。」
澤村さんの言葉に、東峰さんは恐る恐る振り返った。そして震え始めた。澤村さんの背中にバッと隠れた東峰さんの顔は真っ青だった。
「なんすか。別に怒ってないっす。」
ちょっとだけ、むすっとした顔の飛雄くん。
でも本当に怒ってはいなさそうだ。
「影山、急に立ち止まるなよー！
鼻打ったじゃんかよ！」
「王様の顔が怖いって、もう今更な話だとは思うけどね。」
「言えてる！さすがツッキー！」
日向くん、月島くん、山口くんの3人が飛雄くんの後ろに立っていた。仲が良いのか悪いのか。
「ご、ごめん！影山！」と変わらず澤村さんの背中から声をかける東峰さん。「へなちょこめー！」とちょっかいをかける菅原さん。「こりゃあ、何か奢らないとダメだなー。旭？」と澤村さん。
「旭さん、なんかやらかしたんすか！」
「ひゃっはー！影山の顔は確かに怖いっすよね！」
「そんなこと言わないの、田中。」
「今日も平和だなー。」
「本当そうだな。」
２年生の皆さんが、部室から最後に出てきて本格的に騒がしくなってきた。なんだか初めてバレー部の皆さんと会った時のこと思い出すなーと考えながら飛雄くんに目を向けた。
先輩たちにからかわれながら笑う飛雄くんを見て、「あー、飛雄くんがこの人達と出会えて良かったな。」と心から思った。
そしてこの流れのまま、みんなで帰路に着いた。
東峰さんは律儀にも、コンビニで飛雄くんにぐんぐんヨーグルの大きいサイズを買ってあげていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：灰次 | 作成日時：2019年6月28日 10時
