15話[影山side] ページ16
昼休み。
Aと一緒にご飯を食べるため、二人で屋上へ来た。晴天で良かった。
「え?坂ノ下商店のお兄さん、バレー部のコーチになってたの?」
「あぁ。烏養監督っていうすごい人が前に烏野にいて。その監督のお孫さん。」
「そうなんだ!じゃあ今までよりレベルアップした練習が出来てるんだね!すごいなー。」
ここ最近の部活であったことを伝えると、自分のことのようににこにこと笑うA。
人とのコミュニケーションが下手な俺にとっては、こうやって感情を表に出しながら話してくれるとすごく助かる。俺の性格を分かってくれてるからか、ちょっとキツい言い方になっても本音を察してくれる。
「GWは合宿に行くから、会えないんだけどいいか?」
「うん、分かった!メールはしても大丈夫?」
「あぁ。というより、夜にこっちから電話する。」
「ありがとう。ふふ、声聴けるの嬉しいな。」
俺を照れさせようとして言ってるんだと最初は思っていたこの素直さも、今では何の計算もなしに言ってきてると分かって余計に照れる羽目になる。
「対戦相手はどこなの?」
「確か……ねこ…音駒って言ってた。」
「音駒?あぁ、東京の高校か!」
「知ってんのか?」
「うん!前にお兄ちゃんの試合観に行った時の対戦相手だったと思う!あんまり覚えてないけど。」
目線で弁当の中のおかずを選んでそれを口に運びながら答えるA。正直、会話よりも今はAが食べてる弁当の唐揚げが美味しそうで自然と俺の目線がそこに向く。
「ん?なにか食べる??」
なんでこいつは、俺の考えが分かるんだろう。
逆に俺はAのことあまり分かんないのに。
ボーッとしながら「唐揚げ、美味そうだな。」と呟くと、にこっとしながら「はい、どうぞ!」と俺の弁当の中に唐揚げを置いてくれる。お返しに、プチトマトを渡した。
「もー、プチトマト苦手だから渡してきたでしょ?お返しっていっても嬉しくない!」
「ふはっ。……っ、わりぃ。」
文句を言う割には顔がにこにこと笑っていて、言ってる事と表情が合ってなくて思わず笑った。
ツボにハマり、なんとかバレないように笑いを堪えていると「肩揺れてるし笑ってるのバレてるからね!」と言われ、我慢できずに声に出して笑った。
俺の笑い声につられたのか、Aまで笑い始めて大変だった。周りから見たら変な奴らだと思われるだろうか?それとも、ただのバカップルか?
幸せな時間だ。
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作者名:灰次 | 作成日時:2019年6月28日 10時