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12話 ページ13

少し遅れて走ってきた飛雄くん。
オーラが多少怖くなっている二人が私の前に立って、風神雷神のように待ち構える。



「影山くぅーん?こちらの麗しい女性が影山くんをお待ちだ!」

「本当に麗しい!潔子さんとはまた違った美しさ!神々しいぜ!」

「まさかとは思うが、この麗しい女性がお前の話してた元彼女さんだとは言わないよなー?あぁん?コラ??」



ものすごい圧を感じる。背が低めの人はそうでもないんだけど、なんせ坊主頭の人の圧がすごい。
なんであんなにガン飛ばしてるんだろ。
どう動けばいいか困っていた時に、とても美人な女の人が「やめて、みっともない。」と言った瞬間、「「はいっ!!」」と風神雷神は忠犬へと変わった。



「大王様の妹さんですかっ?」


今度はオレンジ髪の男の子がじーっとこっちを見つめてきた。大王様って……何だろう??そう不思議に思いながらも一応自己紹介をする。



「えっと。大王様が兄のことなのだとしたら、私は及川徹の妹で合ってます。Aです。」

「おー!確かに大王様に似てるな!」



きらきらした目で顔を近づけながらこちらを見てくる。純粋なんだろうなー、好奇心以外の気持ちが一切ないみたい。少し和んで微笑むと、「天使が笑っておられる!!」とまた騒がしくなった。
あぁ、帰りたい。
注目されるのは好きじゃない、と軽く憂鬱になっているとオレンジ髪の子がぐいんと後ろに引っ張られた。飛雄くんが引っ張ったみたいだ。



「日向、近い。あんまり引っ付くな。」



飛雄くんの言葉にキョトンとするも、「あぁ!ごめん!」と素直に謝る男の子。何とも素敵な子だ。
この後バレー部の皆さんに自己紹介をしてもらうも、はっきり言ってきちんと記憶出来ず申し訳ない。あとでもう一回飛雄くんに教えてもらおう。



「後輩に先を越されたぁああ!!!」と叫ぶ声を聞きながら、主将である澤村さんの「こっちは気にしなくていいから、早く二人で帰りなさい。」というお父さんみたいな言葉に甘えて帰路に着く。



「悪かった。今日はもう少し早く終わる予定だったのに、つい練習に夢中になっちまって。」

「ははっ。気にしなくていいよ!バレーに関しては今までみたいに全力でやって?その方が私も嬉しいし安心するから!」

「おう。」



少し照れたのか、手で口元を覆いながら返事をする飛雄くん。身長は私よりだいぶ高いのに、こういう所は可愛らしく感じてしまう……なんてこと本人に言ったら怒られるかな?

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作者名:灰次 | 作成日時:2019年6月28日 10時

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