36.過去 ページ37
3年前の冬。
雪が地面を覆い隠す真っ白な日だった。
それはまだ、Aの瞳に感情が写っていた頃。
「ひかるー！雪だよ！雪！」
大阪の財前宅へ訪れていたAは、中2の冬休みを迎えていた。
「窓しめろや。
寒いやろ」
コタツの中で丸くなっている財前は、雪になど目もくれず、冷めた目でAを睨んだ。
「ひーかーるー！
雪だるま作ろーよ！」
コタツに潜る財前を、Aは激しく揺する。
「餓鬼。もう中2なんやし、お前もちぃとは女らしゅうせぇや」
「うるさいなぁ！
もう光なんて知らない！」
そう言い残したAは、1人庭に飛び出した。
「はぁ。全く世話の焼ける」
財前はゆっくりとコタツから体をだし、Aの後を追って行った。
「おい」
「ふんっ」
「A」
「光なんて知らないもんっ」
Aを追った財前は、雪の上へ腰をつけ、また始まった、とため息をついた。
「にんじんあるけど」
「光大好き！」
現金なやつ、と財前は小さく笑みを零す。
なんだかんだ言って、2人は雪だるまを作り始めた。
だが。
「うっ……ゴホッゴホッ」
「A？」
「だいじょ…ゴホッ……カハッ」
「……っ」
視界に映ったのは、紅だった。
Aから吐き出された血が真っ白な雪を、紅く紅く染めて行く。
純白だった2人の世界を、黒く塗りつぶしてしまった。
もう元に戻すことは、できない。
「Aー！！」
降り続ける雪の中、財前の声が溶けて行った。
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ゆき - 文才が天才的ですね♪ これからも楽しく読ませていただきます！(私は小6なので言葉おかしかったらすみません) (2017年5月8日 16時) (
レス) id: 1ca8e8f005 (このIDを非表示/違反報告)
SHINO(プロフ) - 射命丸霊夢さん» ゆっきーの誕生日です。笑 いえ、こちらこそありがとうございます。 (2015年1月3日 7時) (レス) id: e7993006ee (このIDを非表示/違反報告)
射命丸霊夢 - ああ、なる…。ありがとうございいます。 (2015年1月3日 0時) (レス) id: 0d3418cc1f (このIDを非表示/違反報告)
SHINO(プロフ) - 射命丸霊夢さん» 0305です！ (2015年1月2日 19時) (レス) id: e7993006ee (このIDを非表示/違反報告)
射命丸霊夢 - かまわないです。おねがいします。 (2015年1月2日 19時) (レス) id: 0d3418cc1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：SHINO
| 作成日時：2014年2月22日 13時
