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「真柴さん」
「また何か用？」
幸村は再びAをひきとめた。
面倒そうに返す彼女の顔は疲れ切っていた。
「真柴さんさ……「こいつ、借ります」」
え？と戸惑う2人をよそに、突然現われた男はAの腕を強く引いた。
「ひ、かる……っ」
手のぬくもりに、彼女はすぐに男の正体に気づく。
何故こんなところに、と幸村は唖然とするが、さも当然のように財前はAの腕を引く。
ぴくりとも動かない幸村を置いて、財前はどんどん足を進める。
対するAも、状況を呑みこめていなかった。
ここは立海の敷地で、財前が入れるはずないのだ。
「ねぇっ、ひかるっ」
慌てるAをよそに、財前の足は止まらない。
気づけば、立海を既に出ていた。
それでも止まらない財前の足。
「ねぇってば！」
息が切れかけていたAは、渾身の力で、財前の腕を引く。
すると、財前は静かに止まった。
「……」
振り返ろうとしない財前は、下を向き、表情を隠す。
「光、どうしたの……？」
(突き放さなきゃ)
そんな言葉が脳裏を掠めるA。
「……」
けれど財前は、口を開こうとしない。
「俺、やっぱり無理や」
「え？」
ぼーっとしていたら聞き逃しそうなほど、小さいその声。
だけど確かにAへ届いた。
「Aがおらんなんて耐えられんっ」
急に振り向いた財前は、Aの腕を強く引き、力いっぱい抱きしめる。
(光に抱きしめられるのは、何回目だろう)
Aは静かにそんなことを思った。
彼女の心は、どうあっても動かない。
「光、離して」
残酷なほど、冷たい声が落とされた。
今にも崩れ落ちそうなほど弱った財前を目の前に、Aは平然とナイフを放った。
「嫌や」
「光」
「俺が今離したら、お前は逃げるやろ」
「……」
こんなにも強引な財前を、誰が他に知っているだろう。
戸惑うAだが、態度にも表情にもそんな感情は微塵も見せない。
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ゆき - 文才が天才的ですね♪ これからも楽しく読ませていただきます！(私は小6なので言葉おかしかったらすみません) (2017年5月8日 16時) (
レス) id: 1ca8e8f005 (このIDを非表示/違反報告)
SHINO(プロフ) - 射命丸霊夢さん» ゆっきーの誕生日です。笑 いえ、こちらこそありがとうございます。 (2015年1月3日 7時) (レス) id: e7993006ee (このIDを非表示/違反報告)
射命丸霊夢 - ああ、なる…。ありがとうございいます。 (2015年1月3日 0時) (レス) id: 0d3418cc1f (このIDを非表示/違反報告)
SHINO(プロフ) - 射命丸霊夢さん» 0305です！ (2015年1月2日 19時) (レス) id: e7993006ee (このIDを非表示/違反報告)
射命丸霊夢 - かまわないです。おねがいします。 (2015年1月2日 19時) (レス) id: 0d3418cc1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：SHINO
| 作成日時：2014年2月22日 13時
