君と出逢えた奇跡に名前を付けるなら (ページ10)

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彼の野球をやらない理由、
悲しそうに笑っていた理由、
夏川の辛そうな笑顔の理由、
全てが繋がって、彼の背負う罪を知って、
1人でそんなことを抱えてたなんて、
きっと今まで誰にも言わず、
周りからきっと責められ続け、辛かっただろう。

きっと彼がここまで来れたのは夏川がきっと支えていたからだろう。

俺も、あいつの支えになれたら、なんて思いながら俺を呼ぶ声の元に足を進めた。

▽

｢なんで話しちゃったんだろ｣

言わないつもりだったのに、誰にも。
あの日から、仲間や監督、家族からも人殺し扱いされて、人間不信だった俺の隣に居たのは幼馴染みの唯だった。
俺がこれまで、腐らなかったのはあいつのおかげで。
あいつには感謝してもしきれないくらい感謝してる。

御幸に、人に話したら楽になるかもって言われて、優しくされて柄にもなくポロッと言ってしまった俺の過去。
きっと彼はこれを聞いて、俺の元から離れていくだろう。

誰も、人殺しと仲良くしようとは思わないだろう。

｢折角仲良くなれると思ったけど｣

残念だな、そう呟いて真っ青な綺麗な空を見上げた。

▽

ここ全てで9話です。宜しく。