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いつも通り練習に参加してると、グラウンドの外で監督と話している御崎の姿を見つけた。
何となく好奇心で何を話しているのかと近くによって行くと全部ではないが聞こえてくる会話。
｢やはりまだ無理か｣
｢そっすね｣
｢そうか｣
少し悲しそうに小さく笑う彼に、そう言えば初めて会った事があるかもと聞いた時もそんな感じで笑ってたなと思い出す。
｢体は何とでもなるんすけどやっぱ心の方は｣
｢そうか｣
無理はするなと監督が彼の方に手を乗せる。
ありがとうございますと不器用に彼は笑って、グラウンドから離れていく彼の背中を見つめていると先程まで彼と話していた監督と目が合った。
やべ、と思った時には時すでに遅しで、そこで何してると監督に睨まれて、すいませんと小さく謝る。
｢御崎の姿が見えたんで｣
｢知り合いか？｣
｢ちょっと話するくらいの仲ですけど｣
｢そうか｣
監督こそ御崎と知り合いなんですか？と聞けば、監督はどこか諦めた顔をして何度もスカウトはしているんだがな、と答えた。
｢スカウト？｣
｢いいから練習に戻れ｣
｢はい｣
グラウンドに戻る途中監督のスカウトの言葉が気になった。
スカウトって事はやっぱり彼は野球をやっていたんだろう、けど何かの理由で今はやっていない、という事か。
何となく彼、御崎の事について知れた気がした。
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誰も居ない家に着いて、鞄を放り投げてベッドに身を投げる。
｢疲れた｣
授業が終わり帰ろうとしていた所に野球部の監督に呼び止められて、野球部に入る気はないのかと言われた。
入りたいとは思う、寧ろ入りたい、けどやっぱりあの時の事を思い出すと野球をやるのが怖くて、何となく返事を先延ばしにしている。
｢覚悟決めなくちゃいけないのは分かってる｣
分かっているけど、けどやっぱり俺はまだ子供な訳で、その覚悟が出来ずに今に至る状態で。
考えても考えても、目を閉じればあの時の事がフラッシュバックしてくる。
消したくても消えない俺の過去、決して忘れてはいけない過去、俺が背負っていかなければいけない過去。
｢くそ｣
楽しそうに野球をやっている御幸達を見て、羨ましいと思った。
俺もあんな風に野球をやりたい、そう思っているのに、その1歩が踏み出せないのが凄くもどかしかった。
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仕事が辛い、社畜辛たん
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作者名：おえかきちょう | 作成日時：2020年3月5日 3時
