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▽
｢あ、｣
｢おはよ、御幸｣
｢おはよう、御幸君、倉持君｣
朝、生徒玄関の入り口で御崎と夏川にばったり会った。
｢何お前、王子と知り合いなん？｣
｢王子って｣
恥ずかしそうに頬を掻きながら、苦笑する御崎に夏川は腹を抱えて笑っていた。
｢一樹が王子って、あはは｣
｢唯、笑いすぎ｣
｢でも事実だろ？｣
有名人じゃん、と言う倉持に御崎は少し複雑な表情をして、そんな事ないよと言った。
｢倉持君？だっけ？｣
｢おう｣
｢よろしくね｣
そう言って御崎は綺麗な笑顔で倉持に手を差し出した。
御崎の手に倉持が手を合わせるのを見て少し心がモヤっとした。
あれ、なんで俺こんなこと思ってるんだろう。
｢あ、私日直だから行くね｣
｢おー｣
走っていく夏川に転ぶなよ、と声を掛けた御崎に夏川は転ばないから、と少し怒っていた。
｢倉持君も野球部なんだね｣
｢あー、倉持でいいよ｣
｢あ、ほんと？｣
｢おう｣
野球部大変そうだよね、俺には無理と少し困ったように笑う彼にやっぱりどこかで会ったことがあると思った。
あのさ、彼に言えば綺麗な顔でどうした？と聞かれる。
｢やっぱり、どっかで｣
言いかけた途端聞こえてきた予鈴の音。
やべ、遅刻すると慌てて3人で校舎の中に入る。
俺こっちだからと教室に早足で向かう彼に、また聞けなかったと落胆した。
▽
最近、よく御幸から聞く青道の王子の名前。
どこかで会った事があると言ってたけど、野球関連の知り合いならまだしも、正直こいつと王子が知り合いだとは到底思えない。
｢やっぱり会った事あると思うんだよな｣
｢またそれかよ｣
｢いやだってさ｣
あーでもねーこーでもねーと言う御幸に直接聞けば良いだろ、と言えば毎回はぐらかされるとの事。
｢聞かれたくねんじゃね？｣
｢けど気になんじゃん？｣
まあ、確かに気にはなるだろうけど、正直こいつがあいつにそこまで執着する意味が俺には到底理解できなかった。
ウジウジすんなよ、と彼に告げればおーと気のない返事が返ってくる。
俺は小さくため息をついて、席に戻った。
▽
因みにダイヤなら真田推しです。
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作者名：おえかきちょう | 作成日時：2020年3月5日 3時
