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▽
｢御幸、頼む｣
｢俺には無理だって｣
御崎のバイト先の子が急に休んでしまい人が足りないのだとか。
｢俺接客とか無理だって｣
｢お前ならなんとかなるって｣
先程から今日だけで良いから、と只管俺に頼頼み込む御崎。
厨房ならまだしも、接客の心構えなんて皆無だ。
｢…頼むよ｣
困った様に俺の顔を覗き込む御崎、わざとやってんのか。
好きな奴に可愛くお願いされちゃ、断ることも出来なくて。
｢今日だけな｣
｢流石御幸！｣
頼れるのはお前だけだよ、なんて言うもんだから調子が良い。
.
放課後、御崎と一緒にアルバイト先まで来て一緒に制服に着替える。
｢似合うな｣
｢お前に言われても嬉しくねぇよ｣
真っ白なワイシャツに黒のサロン、シンプルな制服だからこそ着こなせない。
何か、服に着させられてる感じ。
俺より背が高くてすらっとしてる御崎みたいな奴は良く似合う、お前に顔も良いから。
｢取り敢えず、笑顔で宜しく｣
｢…それだけ？｣
｢お前ならなんとかなるって｣
接客の1つも教えて貰えないまま人生初のアルバイトがスタート。
見様見真似で御崎の動きを真似すれば、緊張しすぎと笑われる。
だから無理だって言っただろ…。
.
｢お疲れ様｣
｢マジ疲れた｣
でも、出来てたじゃんと綺麗な顔で笑う彼に溜息が出る。
小さな飲食店で品数も少ないから、滞りなく仕事は出来たけど、何故かこの店は女性客が多い。
と言うか、ほぼ10割女性客。
原因はこいつにあるんだろうけど…なんて言っても御崎に分かるはずもなくて。
｢…腹減った｣
賄い作ってやるからちょっと待ってろ、と言って厨房に消えていく御崎。
手際よく料理を作っていく御崎は普段料理をしない彼とは正反対の姿すぎて思わず笑ってしまう。
｢…お待たせ｣
｢美味そう｣
いただきます、と言って一口食べれば咄嗟に上手いと言葉が漏れる。
良かった、と笑う彼に家でもちゃんと作れよ、と言えばそれは面倒臭いと困った様に笑う。
｢折角作れるんだから｣
｢偶にやるから良いんだろ｣
毎日はだるい、と言う彼に少し呆れる。
｢御崎が嫁に来てくれたらな｣
｢は？｣
｢俺毎日野球やって帰ってきたら美味い飯食えるとか最高じゃね？｣
｢いや、俺男だし｣
｢胃袋掴めば旦那は帰ってくるって言うじゃん？｣
そういう事じゃねぇだろ、と彼は困った様に笑って机の下で俺の足を蹴った。
.
｢…折れたわ｣
｢ふざけ｣
▽
ネタが尽きてきた。
誰落ちかも決めてないし、どうしようか。
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作者名：おえかきちょう | 作成日時：2020年3月5日 3時
