君と出逢えた奇跡に名前を付けるなら (ページ5)

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いつも通り唯を迎えに行くと、少し悲しそうな顔をした唯が立っていた。

｢どした？｣
｢今日、御幸君に一樹の事聞かれた｣
｢なんて？｣
｢どこかで会ったことあるかもって｣

まさか唯に聞くなんて思ってもみなかった、意外と行動派なんだな、と言えば唯は困った様に笑った。

｢言わないの？｣
｢直接聞かれたら｣
｢そっか｣

まあ、直接聞かれたんだけど、と思いながらごめんな、そう唯に伝えると私より一樹の方が辛いから、と泣きそうな顔で言われる。
あの時、俺があんな選択しなかったらお前にそんな辛そうな顔させないで済んだのかもしれない。
なんて考えても後の祭りな訳で。

｢帰りアイス買って帰ろうぜ｣
｢太るからいらない｣
｢たまにはいいだろ｣

もう、と少し眉を寄せた唯に俺は小さく笑った。
あともう少し、もう少しできっと諦めがつくから、だからそれまで待ってて。
ごめん、そう心の中で呟いた。

▽

安定のここまでで4話です。