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▽
｢ここか？｣
｢ぽいな｣
野球部数人と夏川とで御崎が出ているバスケの試合を見に都内でも大きい体育館にやってくる。
｢御崎がバスケ部とはなぁ｣
｢吃驚だよな｣
｢でも納得だわ｣
確かに体育の時間は何のスポーツもそつなくこなしてたのを思い出す。
五月蝿い沢村達の後ろを歩きながら体育館の入口に向かうとバスケ部のジャージを着た御崎を見つける。
｢あれ、｣
｢似合ってんじゃん｣
｢元々着てたからな｣
御崎先輩野球部辞めるんですか！？と沢村と降谷に詰め寄られる御崎は困った様に笑ってただの助っ人だよ、と返す。
｢頑張れよ｣
｢ありがとな｣
｢はい、お弁当｣
｢唯も態々ありがとな｣
気にしないで、と笑う夏川と観客席に向かう途中入口付近を右往左往する鳴を見つける。
倉持達に先行っててと伝えて鳴に近づけば、鳴もこちらに気付いたようで手を振ってくる。
｢何してんだよ｣
｢応援しに来たの｣
｢御崎の？｣
｢そう！｣
久しぶりに試合出るって聞いたから、と言う鳴にちょっと腹が立った。
鳴はあいつがバスケやってる事を知ってるのか、俺はこないだ知ったばっかりなのに。
なんて子供じみた事を思ってしまう。
｢早く中入ろうよ｣
｢そうだな｣
中に入ると野球とはまた違った盛り上がりを見せる体育館。
野球は外の競技だから体育館特有の熱気が籠った雰囲気とかなくてとても新鮮だった。
｢あ、あれ一樹じゃない？｣
｢ほんとだ｣
コートで試合前の練習をしているであろう御崎はどこかとても楽しそうで。
野球で見せる真剣な眼差しとはまた少し変わった顔に不覚にも胸が高鳴った。
｢やっぱ好きだな｣
｢は？｣
｢一也も好きなんでしょ？｣
一樹の事、と不敵な笑みを浮かべる鳴にだったら何だよ、と返せば一樹を貰うのは俺だから、と宣戦布告される。
｢お前には渡したくねぇ｣
｢俺も一也だけには渡したくない｣
どっちが先に落とすか勝負ね、と言う鳴にどっちが落としても恨みっこ無しな、と言えば鳴は満面の笑みを浮かべた。
▽
モテモテ主人公君、狡い。
自分で書いてて思うけど夏川さんと付き合わない主人公君はどうかしてると思う。
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作者名：おえかきちょう | 作成日時：2020年3月5日 3時
