29 ページ32
▽
御崎の様子が最近おかしい、何がどうおかしいのか聞かれると難しいが、何時もと何か違う気がする。
事情を聞いてもはぐらかれて、何も聞けずじまい。
様子がおかしい、と言っても部活とかは普通に参加してる。
｢気のせい、か？｣
部活が終わり、帰る準備をしている彼の携帯がなり、メールと思しき文面を読んだ彼の表情が固まる。
どうした、と問いかけても返事がなくて。
何度か名前を呼んで肩を揺らしてみれば、少し青い顔で俺を見つめた。
｢どうした？｣
｢何でもない｣
｢何でもなくないだろ｣
大丈夫だよ、少し辛そうな笑顔でそう言って彼は足早に帰って行った。
.
次の日、部活で口元に絆創膏を貼った御崎がブルペンに来た。
｢どうした、それ｣
｢剃刀で切った｣
｢は？｣
無駄毛処理って難しいよな、何ていう彼が嘘をついているのは明白だった。
つーか、無駄毛処理とか男が言うなよ。
何時もは練習着で部活に参加してるのに、今日はジャージで参加していたのにも違和感を覚える。
少し気になって袖口を捲ってやると痛々しい生傷が見える。
｢ちょ、｣
｢何これ、お前｣
｢別に｣
少し不機嫌そうに袖口を直す御崎の腕を引っ張って、人が居ない寮の食堂に連れてくる。
｢腕出せよ｣
｢は？｣
｢手当してやるから｣
要らない、という御崎の腕を強めに握ってみると痛そうに顔を歪める。
｢本当性格悪い｣
｢大人しくしてろ｣
ジャージを脱がせて彼の腕が露わになる。
痣や何か鋭い物で切られたかのような傷が見えて、本当に何やったんだ？と問えば御崎は顔を逸らして、親と喧嘩と呟いた。
｢親…｣
｢大して痛くないから大丈夫だよ｣
｢そういう事じゃねぇだろ｣
バイ菌入ったらどうすんだよ、と言いながら御崎の腕に容赦なく消毒液をぶちまけた。
▽
今日天気悪いですね。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 58人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おえかきちょう | 作成日時：2020年3月5日 3時
