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｢俺はお前の過去聞いてどうこう思わねぇよ｣
何で？そう聞いた彼に、人間人に言えない事の一つや二つあるだろ、と言えば限度があるだろと笑われる。
｢まあ、確かに。
けど、俺はお前が人殺しだなんて思わない。
不慮の事故、そんなのこの世界中探せば幾らでもある、それがたまたまお前だっただけ。
俺は、人を怪我させた事はないから、正直お前の気持ちはわからない。
けど、それは全てお前の責任ではないし、
あの時雨が降った時点で練習を辞めさせなかった監督にも責任があると思うし、
現場を見ててお前のせいだと決めつける仲間にも責任はある、
自分の血を分けた子供の事を信じてあげない親にも責任はあると思う。｣
だから、お前だけのせいじゃねぇよ、そう言えば彼は涙を浮かべて、ありがとうと小さく笑った。
やっぱり彼は笑顔が良く似合う。
｢あんま背負いすぎんなよ｣
｢御幸、母親みたい｣
お前みたいなでかい奴産んだ覚えねぇよと言えば俺もお前みたいな母親は嫌だと言った。ふざけ。
相談してスッキリしたわ、そう言っていつもの綺麗な笑顔を俺に向けた彼の頬を自分の手でなぞる。
｢…キスしてぇ｣
は？と驚いた顔をした彼の唇に自分のソレを押し付けた。
▽
近付いてくる彼の綺麗な顔、閉じられた瞳に釣られて俺も目を閉じる。
たった数秒のキス、それが何十秒にも感じた。
｢…悪ぃ｣
｢悪いと思うなら何でしたんだよ｣
つい、と言う彼は全く反省の色なんて見えてなくて。
恥ずかしくなって目を逸らせば、どうだった？と聞いてくる彼に馬鹿じゃねぇのと返す。
｢俺、割と嫌じゃなかったんだよな｣
｢寧ろキスして来ておいて嫌だって思ってたなら、お前相当屑だぞ｣
｢確かに｣
ははは、と綺麗な顔で笑う彼に釣られて俺も笑みが零れる。
まあ、俺も嫌じゃなかったよ、と言えば彼は心底驚いた顔をしていて、俺はまた笑った。
｢笑い過ぎだろ｣
｢ごめんて｣
笑ったら腹が減った、なんて言えば作ってやろうか？と彼言う。
｢作る？お前が？飯を？｣
｢何だよそれ｣
割と料理には自信があんだよ、という彼に料理を任せることにした。
下手くそだったら盛大に笑ってやろうと心に決めて。
▽
御幸君の手料理食べたいな。(でもママの唐揚げが一番好き)
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作者名：おえかきちょう | 作成日時：2020年3月5日 3時
