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部屋の中はすごく整頓されていて、でもどこか殺風景な部屋だった。
家電も家具も最小限で、ゲーム機や漫画本等高校生が欲しがる様な物は一切置いてなかった。
｢何も無くてごめん｣
｢あ、いや｣
何しに来たの？ペットボトルのお茶を俺に差し出しながら彼はそう呟いた。
｢夏川に地図渡された｣
｢お節介｣
｢お前が心配なんだろ｣
そう言うと彼は少し嬉しそうにかもな、と言った。
｢嫌われたかと思った｣
｢は？｣
｢お前に｣
何で？と問えば、あんなの聞いて俺の所のこのこ来るお前は可笑しいよと少し困ったように言われた。
｢何処が可笑しい？｣
｢何処って｣
｢俺はお前が心配だった｣
学校も来ないって聞いて、多分俺のせいだって思ったから、と言えば彼は驚いた顔をして、俯いた。
｢別にお前のせいじゃねぇよ｣
｢俺のせいだろ｣
彼は少し驚いた顔をして俺さ、と彼は俯きながら小さな声で話し始めた。
｢御幸の隣は居心地が良かった。
御幸が捕手だったって言うのもあるんだろうな。
俺、野球部とは関わらないようにしてた。
関わると思い出すし、
もし自分の事覚える奴がいたらって考えると尚更。
でも、初めて御幸に会って、
こいつきっと性格は悪いけど悪い奴じゃないって思った。｣
｢酷いな｣
まあ、聞けよ、と彼に笑われる。
あ、いつもの綺麗な笑顔だ、そう思った。
｢だから、御幸に優しくされて、
何となく、自分の過去を話してみた。
けどさ、話して気付いたんだよ、何で話したんだろうって。
今まで言われてきた事、されてきた事、覚えた筈なのに。
辛かった事ばっかりだったのに、何で自ら辛い事になること分かってて話したんだろうって。｣
視線を感じて顔を上げると彼と目が合う。
綺麗な瞳に吸い込まれる様な錯覚を起こして、目が離せなくなる。
｢御幸だけには嫌われなく無いなって思った｣
｢なんで｣
｢俺もなんでだか分からないんだよ。
何で御幸だけには嫌われなく無いのかなって
考えても考えても分からなくて、
気付いたら1週間立ってた｣
馬鹿だろ、と言えば馬鹿かもなと彼はいつもの綺麗な笑顔を浮かべた。
▽
12話です。主人公(男)みたいな彼氏が欲しい。
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作者名：おえかきちょう | 作成日時：2020年3月5日 3時
