白熊さんとあの白い人 ページ39
「(正直、ど緊張している。なぜかって朝のスモーカーさんの言葉のせいだ。散々キスやらしてるじゃないかって？そうね？でも、1日一緒って今までほとんど無かったからこういう時どうしたらいいかわかんない。いや、こうして一緒に居られるようになったのは本当に嬉しいんだけども。だけどスモーカーさんが甘すぎてしんどい。何あの色気。2年で増してない？部屋の主が居るってだけでこんなに緊張するものなの？心臓潰れるダレカタ…
「何ぶつぶつ言ってんだ」
「！！え！もう上がったの！？」
「？あァ…普通だろ」
急に聞こえた声に飛び上がる
振り返ると頭を拭きながら怪奇な顔でこちらを見るスモーカーがいた
1人で葛藤している間にだいぶ時間が経っていたらしい
そしてまた上裸だ。いつも見慣れているはずなのになぜか今日だけは直視できなくて目を逸らした
なんなんだというようなスモーカーはAの横を通り過ぎると部屋の奥へ歩いていった
「そういやお前に返すモンがある」
「…返すもの？」
部屋の奥にあるクローゼットの中から3つの箱を取り出しAの前に置く
スモーカーを見れば、開けてみろと言うので開けてみると中には食器や小物が
「え…これって」
「もうあそこは本部じゃねェからな。寮も建て直す事になったんで俺が預かっておいた」
「っ…もう、捨ててると思ってた」
「バカ、捨てる理由がねェ。お前は必ず連れ戻すつもりだったからな」
手に取った湯呑みは、本部でずっと使っていたお気に入りの物。アラバスタで三大将に買った湯呑みと一緒にこっそりお揃いで買っていた犬猿雉の描かれた湯呑みだ。他にも部屋に置いていた全ての小物や、他の箱にも全部私物が入っていた
Aはとりだした白熊のぬいぐるみをぎゅっと抱き締める
この白熊もかなり思い入れがあるのだ
「この白熊…誰かに似てると思わない？」
「あァ？」
「んふふっ」
子供の頃ガープに買ってもらったこのぬいぐるみ
白い毛に仏頂面のそれを初めて見た時、これがいいって直感で思ってガープにねだった。
もっと可愛いのじゃなくていいのかと聞かれたが、もう他の物は見えてなくて。
それから大きくなって改めて見ると、スモーカーにしか見えなくなり、守ってくれそうだとお守り代わりにしていたのだ
もしかしたら私はその頃から…
気付いた昔の気持ちに、手に取った白熊とにらめっこしてるスモーカーへのさっきまでの緊張も消えやっぱり好きだなと白熊ごと抱きついた
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作者名：Ancop | 作成日時：2023年4月7日 22時
