痛い、痛いのとんでいけ ページ34
朝方目を覚ましお腹に乗る重さに振り返れば後ろにスモーカーが寝ているのに気がついた
「(夢じゃなくて良かった…)」
本人だと確かめるように頬に手を滑らし、前には無かった顔の傷をなぞった
この前の包帯ももう取れていて、まだ少し残る傷跡に軽く口付けた
しばらくスモーカーの顔や髪を堪能していたが中々起きないので、もう起きようとその腕をどけると、グッと引っ張られまた腕に納まった
「わっ！」
「どこ行く」
「ど、どこってそろそろ起きようと…」
「…もう居なくなんねェか？」
それはきっと2年前黙って居なくなった時の事で、そう言うスモーカーの顔を見れば怒ったような、拗ねたような顔をしていてなんだか駄々をこねる子供のように思えてAは少し口元を緩ませた
「何笑ってやがる」
「…もしかして根に持ってる？」
「…当たり前だ。トラウマだ、バカ」
「あはは。ごめん」
スモーカーは、はァと大きくため息をつくとAをもう一度痛いぐらいに抱きしめた
「うぅ…潰れるっ！」
「うるせェ、罰だ」
「ごめんってばぁ！」
やっと緩めてくれた腕から抜け起き上がるが、またすぐ腕を引かれその厚い胸板に手をつく。すぐに後頭部に手がまわり引かれると噛み付くように口付けられた
「んぅ…っはぁ」
「はっ…」
キスの合間に目が合う。その目はあの時のようにギラギラしていてドクンと身体がうずいた
服の中に入ってきた手が腰を撫でる度にピクピクと反応する
そして体のラインに反ってなぞる手が脇腹で止まるとキスしていた唇が離れた
「ぁ…？…え、ちょっ」
「見せろ」
上体を起こしたスモーカーはAを押し倒し服を捲し上げるとお腹をまじまじと見つめた
「な、なに？」
「跡…残ったのか、これ」
「あー、うん…仕方ないよ。これで済んだだけマシだって」
「チッ…あの野郎」
サカズキに受けた傷をなぞるスモーカー
彼は彼の正義を貫いただけ。これはサカズキの葛藤の証だと、責めるつもりはないけど、スモーカーにとったら一大事らしい
その傷に優しく何度も口付けられながら、Aは白銀色の髪をあやす様に撫でた
そして最後にもう一度キスをし、スモーカーは起き上がると耳元で続きは夜だと囁きベッドから降りていった
「っ…！！」
さっきまでの駄々をこねる少年のような雰囲気はなく、上裸の引き締まった体で余計に大人の魅力を見せてくるスモーカーに、Aは赤くなった顔を毛布で隠した
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作者名：Ancop | 作成日時：2023年4月7日 22時
