怖いものくらいある ページ36
「ねぇっ…まだ？ローっ。おかしくなりそうっ」
「はァ…そう慌てるな、すぐ良くしてやる…目ェ閉じてろ」
ローはそう言ってAの腕を引き
そこに針を刺した
「ぃ"ーいたい！！」
「これぐらい我慢しろ。ガキかお前は」
「注射だけはほんと苦手なの！！この刺されるまでの時間も気が狂いそうになるっ」
パンクハザードへ向かう前
ローに体を調べさせろと採血された
昔から注射だけはなぜかビビりまくるA
常日頃バッサバッサと容赦なく人を斬るし、相手に斬られる事があってもけろっとしているのに。この瞬間だけは嫌いらしい
「結果が出たぞ」
しばらく刺された腕を擦りながら不貞腐れているとローに呼ばれ見せてくる物に目を向けた
映っているのは2つのグラフ
「これがどうなの？」
「これが鬼神特有の数値だ。人間状態と獣人状態でお前の血は変化する 。簡単に言えば血液型が変わるんだ」
「そんな事ってあるの？」
「普通じゃありえねェことだな」
「ふぅん…あ、だから軍に居た時も鬼神だと分からなかったんだ」
何度も採血する事はあったのに今まで分からなかった事に納得がいった
「もしシーザーにお前を調べたいと言われても獣人にならなければ、何も情報は取られない。なれと言われりゃ終いだがな」
「なるほど…わかった、ありがと！」
つい先日ローが言っていた通りシーザーに血を取られたが、人間の姿でしか取られなかった為特に気にせずそのまま放っておいた
「さて、私も動き出すか」
ソファから立ち上がり気になっていた事を調べる為、極寒の外へ出るべく白のボアコートに袖を通した
「…なんて景色」
目の前には湖を真ん中に燃え上がる灼熱の地と凍りつく極寒の地が広がっている
大ゲンカの末、クザンは海軍本部を去ったと聞いた
今どこで何をしているのか
あの人のことだから何か覚悟を持って出ていったに違いない
もう一度またどこかで話せればいいのに。と目の前の異様な景色を眺めた
あの2人に睨まれているような気になり、Aはぶるぶるっと震えるとまた雪の中を歩き出した
1日かけて外を周り、部屋へ戻るとローも戻っており、風呂でも入ったのかホカホカそうだった
Aはズビッと鼻をすすりローの前に座ると情報共有し、そして風呂に向かった
「…まだ時期じゃねェ。気長に待つか」
ローはフッ笑うと部屋へ入っていった
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作者名：Ancop | 作成日時：2023年3月29日 23時
