新時代へ手を伸ばす ページ33
頂上戦争がこの世界の大きな歴史の変化だと、人々が語り出すようになってきた頃
海軍内では大きく情勢が変わった
元帥だったセンゴクが辞任し、大目付役としてガープと海兵の育成に尽力しだした
そして空いた元帥に大将赤犬ことサカズキが就任し、これから荒れるであろう新世界を予測してか、新たにマリージョア付近の支部G-1基地のあった場所に海軍本部を移転した
「サカズキさんが元帥か…海軍もますます強靭な軍になりそうだな」
新聞を読みながらあの時のことを思い出すようにお腹の傷をさする
本気ならエースのように風穴が開いていただろう
だけどこれだけで済んだのは鬼神の治癒力だけではないはずだと、彼を憎みきれはしなかった
今でも政府は憎い。だが、海軍を憎んだことは無い
逆に彼らに守られて、今この赤髪の船にいるのだから
いつか、時が来れば全てを終わらせる。自由の為に
閉じた新聞を机に置いて立ち上がりぐっと伸びをする
そろそろ時期かな。と、ひとつ深呼吸してシャンクスのいる部屋へAは向かった
「ここでいいのか？」
「うん。ごめんね、わざわざ戻ってもらっちゃって」
「そりゃ構わねェが…本当に降りちまうのか」
「海賊はやらないって言ったでしょ？…でもすごい楽しかったよ！皆良くしてくれたから。居場所、作ってくれてありがとう」
「…あァ。これからお前がどう選択しようが、お前は俺たちの大事な仲間だ。何かあったらすぐかけつける」
「…っうん。ありがとう。それじゃぁ、また…
言い終わる前にシャンクスが近づき、おでこにキスが落とされそのまま片腕で抱きしめられた
「次会う時はもっといい女になってるだろう。次こそはかっさらってでも手に入れてやるから…覚悟しておけよ」
耳元でそう囁かれ最後に合った目がギラリと輝いていて、Aはギュッと手を握りしめていた
そのまま背を向け船に向かう後ろ姿に、なんて男に目を付けられてしまったと冷や汗が伝った
出港した船を見えなくなるまで見送ると島の町の方へと歩き出す
頂上戦争から約1年と少し
新聞に載っていた彼を見て、あの条件を果たしてやるべくこの島で待つことにした
そして
「ちゃんと生きてたか」
「お陰様で。あの時の借りを返しに来たんだけど…まだ有効？」
「あァ。丁度いいタイミングだ」
「なら良かった。それで、どこに行くの？」
「…パンクハザードだ」
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作者名：Ancop | 作成日時：2023年3月29日 23時
