お互い様 ページ24
カチッと電気がついて振り返るとスモーカーが立っていた
「何してんだ、そんなとこ突っ立って」
「ぁ…帰ったのかと、思ってた」
「飯食ってたんだ」
スモーカーはいつも通り葉巻をふかし、部屋に入りソファに座った
Aも動き出しコートをかけて、コーヒーをいれようとポットを沸かす
「なんでたしぎちゃん達と食べに行かなかったの？」
「なんだ、会ったのか？」
「うん。私も外で食べてたから、その帰りに」
「そうか」
いつも通りに話せる
今日一日のドロドロした感情が溶けていく感じがした
ポットのお湯を2つのカップに注ぐとコーヒーのいい香りが漂う
それをスモーカーの前に1つ置き、1つ持ちながら隣に座った
「今日もまたどこ行ってた？」
「え"っ…と、海賊狩り…？」
「なんだァそりゃ」
フッとスモーカーは笑ったが、ヤケになって無双かましてましたなんて言えずコーヒーをすすって誤魔化した
「そういや朝、呼んだだろ」
「っ、気づいてたの？」
「あァ。声がした気がした。なぜ逃げたんだ？」
「それは…。」
「まァいい」
コーヒーを手に取り口をつけるスモーカーを横目に見ながら今日の自分を思い返す
本当になんとも醜い嫉妬心だ。スモーカーの言葉を信じきれず、あらぬ妄想で勝手に焦ってヤケになって。
結局は会っただけで全て消え去って。
「私も、嫉妬深いらしい」
「は？…あァ、もしかして聞いたのか」
「うん。すごい可愛い子だったね」
「俺の好みではねェ。それに気持ちはありがてェがこの先もねェと断ったんだ」
「そう、なんだ…」
「…フッ。お前の拗ねた顔見れるならたまにはいいかもしれねェな？」
「っ、性格わるい」
「かもな」
持っていたコーヒーを取られ、ゆっくりと顔が近づく
だが待ってもキスはこなくて、少し睨むとスモーカーの口角が上がる
「あんま可愛い顔してくれるな、いじめたくなんだろ」
「っからかいすぎ」
「ハッ。悪かった」
笑いながら降ってきたキスは軽めのキスから始まりだんだん深くなっていく
スモーカーの首に腕を回せばそのまま抱き抱えられベッドに運ばれた
「ん…待って、スモーカーさん」
「なんだ……さすがにしねェから安心しろ…
「っちがくて！…准将昇格おめでとうっ！、って言いたかったの」
「…あァ。聞いたのか。ありがとよ」
きっとこれは通過点なのは分かっていた
だけどそれでも少し嬉しそうにまたキスをするスモーカーに身を任せ、夜は更けていった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 68人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Ancop | 作成日時：2023年3月16日 15時
