もう1つ奥へ ページ21
「っ思い出した。私っ、あの日、お婆さんを目の前で…っ」
ガープの話に、幼い日の記憶が蘇っていく
山の方で遊んで戻ってくると、家の中は荒らされお婆さんは倒れていた
少し意識があったが、最後にAの頭を撫でたあと息を引き取ったのだ
たが、そこからの記憶が無かった
どうして血の海の真ん中で泣いていたのか…
それはガープが続けた村人から聞いた話と繋がる
たった1人のお婆さんがころ され、Aは我を失い海賊たちに襲いかかったという
その姿はまるで鬼のようで、残虐の他でもないものだったらしい
海賊は太刀打ちできず、全滅。村人には一切手を出さず、海賊だけを排除し、そして正気を取り戻し泣き喚いていたのだと
「お婆さんはすごく、優しかった。親のいない私をずっと育ててくれた…でもこれ以上の記憶が無いの…きっと、幼すぎたから、かな」
「そうじゃろうな…。村の奴らも、お前を拾った経緯はわからんと言っておった」
「……私を引き取ったのは、もうあの村に居られないから？」
「っ…。」
実際そうだった。村人達は助かったことよりも、Aの変貌した姿に怯えきっており、誰もがもう目を逸らしていた。このまま村に残せば、1人になるのは明確で。人々の態度に怒りも覚えたが、仕方あるまいとそのままAを引き取り帰還した
「…。でも良かったよ、私は。ここに居れて。お陰で寂しくなかったから」
「A…。そうか。」
「ありがとう、教えてくれて。なんか、スッキリした」
ふわっと笑うAを見て、ガープとつるは顔を見合せ、優しく微笑んだ
それから少し話していたが、Aはもう少し寝ると言い目を閉じたので、2人は部屋から出ていった
「…よかったのかい？あの事は言わなくて」
「Aも疲れたじゃろうに。またいずれ話すわい」
「もう、20になるんだ。…目を離すんじゃないよ」
「わかっておる。」
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「きっと、この事と夢の話は違う。まだ何か、何かあるはず…ガープさん達も知らない、何かが。」
目を開け、窓の外を眺めるAの瞳はいつもの琥珀色では無く、紅く染まっていた
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作者名：Ancop | 作成日時：2023年3月3日 0時
