伝えたいこと ページ17
コンコン
「A中将。起きておられますか？」
呼ばれる声と窓から射す光にAは目を覚ました
「起きてない…」と声を振り絞り枕に顔を埋める
「えぇ…。センゴク元帥が起きたら来いとおっしゃっているのでご用意お願いします…」
「んーー…起きたら行くって伝えといて」
Aはまたこんもり毛布にくるまりだんまりした
足音が遠ざかっていくのを聞きながら、本当は覚めてしまっている目を開く
「はぁー…昨日はちょっと飲みすぎたかな…頭痛い」
ベッドから降り洗面台の鏡の自分を見やる
寝癖のついた髪をときながら昨日の事を思い出した
まさか、スモーカーが自分のことを想ってくれていたなんて…びっくりしたのと戸惑いでなぜか涙が溢れてしまった
もちろん嬉しさもあったのだが、この気持ちにどう答えるべきなのかわからないのが涙の理由だった
この海軍で育ち、恋も何もしたことのないA
本当の家族さえ居ないAは、愛するということが分からず戸惑いが溢れてしまった
それに最近は謎の夢にうなされる日々もあり、余計に混乱してしまったのかもしれない
「しかも寝ちゃったしな…ちゃんと謝んないと。スモーカーさんまだいるかな？」
身なりを整えコートを手に取り、部屋を後にした
「あっ！Aさん！おはようございます！」
「おっおはようございます！」
「ん？あ、おはよー。コビーに、えっと…ヘルメット？」
「ヘルメッポだよ！！」
最近ガープが連れてきた雑用係のコビメッポとは年が近いのでよく話す仲だ
今日は廊下の掃除をしているらしい
「毎日朝からよくやるねぇ。サボっちゃえばいいのに」
「だっ、ダメですよぉ！そんなとこガープ中将に見られたら…」
「やめろコビー！！想像しただけで震えるぜっ」
「あはは。あ、私行かないと。また鍛錬付き合うから言ってね。じゃあね」
「「ありがとうございます！」」
コビーたちと早々に別れ、ロビーから食堂などに顔を出していくがスモーカーの姿は見えなかった
「もう戻ってっちゃったのかなぁ…あ、モモンガさん！スモーカーさん知らない？」
「Aか、おはよう。スモーカー大佐なら朝一で出航したが。」
「そうなんだ…ならしょうがないねぇ。ありがとう！」
「それより、センゴク元帥に呼ばれてるのでは無かったのか？」
「あ。忘れてた。行かなきゃダメ？」
「はァ…当たり前だろう」
「はーーい」
しぶしぶ元帥室に向かった
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作者名：Ancop | 作成日時：2023年3月3日 0時
