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「違うんだよ赤井さん!」
「静香さんは、もしかしなくても……」
ボウヤの顔は強ばっていた。そして前後の文脈から俺もボウヤの言わんとすることがわかった。
「「多重人格」」
ボウヤの声とわざと被せた。
「多重人格にも種類があるからな……彼女がどのパターンなのか分からないが、攻撃的な人格と今のところ遭遇はしていないのは確かだな。」
思わず腕を組んだ。明美を重ねていた彼女は、精神面で病を抱えていた。それが衝撃で、どうすればいいのか自分でもわからなかった。
「……そういえば、写真の男の人について何か情報はあった?」
ボウヤの言葉で再起動を果たした俺は、ノートパソコンを持ってきて例の記事を見せた。
「……これは。」
ボウヤは目を見開いて記事を読んでいる。どうやらボウヤも気がついたようだ。
「赤井さん、これ……」
「あぁ。異世界から来た人間の過去の記事がある。」
まずおかしい点がそこだ。
彼女の話が本当なら、佐々木静香なんて人間はそもそもこの世界に存在していない。故に写真の男の人物を探しても本名でさえ、出なかった。
にも関わらず、佐々木静香本人の戸籍は現存していたし、彼女の家についての記事は残っていた。
彼女の部屋が前の世界での彼女の部屋と同じでないことは、写真立てや服を買い込んでいた彼女の行動からわかる。
写真は異世界から持ってきたが、服はそのままなんてことはない。彼女は写真に気づいていた様子はなかった。
彼女が異世界から来たのが嘘であれば、写真の男について情報は出るはずだ。
「いったいどうなっている?」
この件は完全に俺やボウヤの手に余っていた。考えて出る結論ではない。恐らく、彼女が
言う神が干渉しているのだろう。
そんな不確かな推測しかできなかった。
────
パラレルワールドをご存知だろうか。
自分がいる世界とは別に、『もしも』という可能性で満ち溢れた世界。
パラレルワールドを知っていても、世界線という言葉を知らない人も多いと思う。
世界線は、ロープで例えるとわかりやすい。
一つの世界線を一本のロープだとする。
ロープは、何本もの紐が束になって作られている。パラレルワールドは、その何本もの紐。
世界線はいくつものパラレルワールドで形成されている。
そして、
だが、
ロープが二本あっても、その間は空間で、触れていない。
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HILL(プロフ) - 麗妃さん» ありがとうございます。励みになります。大した伏線や設定ではないですが嬉しいです。そしてお返事遅れて申し訳ないです。 (2018年7月16日 22時) (レス) id: 59406b58fa (このIDを非表示/違反報告)
麗妃(プロフ) - とても面白いです!!登場人物たちの心情の描写や、主人公の心情から人格との関係など、設定が綿密に構成されていて、素晴らしいの言葉しか出ません!このあとの展開や伏線が気になって仕方がありません!!これからも楽しみです。頑張って下さい、応援しています! (2018年7月1日 12時) (レス) id: d59234d3e4 (このIDを非表示/違反報告)
HILL(プロフ) - 明里香さん» 報告ありがとうございます。方言が出てしまったようです……。修正しました。助かります。 (2018年6月23日 23時) (レス) id: 59406b58fa (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 誤字がありました。「よし掛かって」ではなく、「より掛かって」です。 (2018年6月23日 22時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
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