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体育祭もいよいよ終盤に差し掛かり、後は学年対抗リレーだけとなった
テオと学年対抗リレーなんて3年が勝つに決まってると調子に乗っていたけれどジョングクの存在を思い出してお互いに口を閉ざした
「Aヒョン!テオヒョン!」
俺ら二人の名前を呼びながら走ってくるジョングクが脅威以外の何者にも見えなかった
「おう、グク」
『頑張ろうな』
「はい!」
なんということだ。ジョングク、僕と一緒のアンカーじゃん…
『テオ、滅茶苦茶頑張って繋いでくれよ』
「ならお前、ちゃんと逃げ切れよ?」
『うん、頑張る…』
そう言って始まりを告げるピストルが鳴る
あー頼む頼む、一番で回ってきてくれ
順調に先頭を走る同級生をドキドキしながら見守っていた
少しずつ一、二年生との距離が開いてきた所でトドメのテオだ。きっといける
『テオ、まじで頑張れ』
「おう」
バトンゾーンに向かうテオがにっと歯を見せた
無事にテオにバトンが渡り、みるみる距離が開いていくのを見て心の底からほっとした
立ち上がってバトンゾーンに向かいテオが来るのを待っていると横に立っているジョングクがヒョンと呼んだ
『なに?』
「負けません」
『僕も負けないよ』
お互いに笑いあっているとテオに「A!」と呼ばれて伸ばされたバトンを受け取り走り出す
二年生とはほぼ半周くらい離れているから大丈夫だろう
なんて余裕を持って居たら二年生のテントが急に煩くなった
ジョングクにバトンが渡ったんだな。と察して速度を上げて走る
僕だって遅いわけじゃないんだ
けれど、4/3を走りきった頃にはジョングクは少し後ろにまで迫っていた
いやいや、バケモンかよ!?
余りの俊足に吐きそうになりながらゴールテープをきった
勢い余ってすぐには止まれず、速度を落としながら少し走って後ろを振り返ると楽しそうに笑ったジョングクが「ひょん、やっぱり速いですね」と言った
いやいや、お前のが早すぎて怖かったよ?
『テオ、テオ、こいつバケモンだ』
「えぇ!?」
「よく逃げ切ったよお前」
『もっと褒めろ?』
「もっと速くならないと…」と呟いたジョングクに二人でもうこれ以上大丈夫。と言い聞かせた
ああ、でも、楽しかったな
これで中学最後の体育祭が終わって、また一つ卒業に近づいた気がした
ジョングクは一緒に住んでいるから卒業しても寂しくはないけれどテオや先生との別れを考え始めるととても寂しくなった
「どうした?のぼせたか?」
『ううん』
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作者名:nagi | 作成日時:2021年5月12日 15時