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三年生のクラス対抗リレーが終わっても周りは興奮冷めやらぬ様子であったがここにやってくるであろう来の事を考えて消毒液と大きめの絆創膏を取り出す

『先生、見てくれてましたか?』

テオ君に付き添われてやってきたミュン君は汗だくで膝小僧は血塗れなのにその笑顔のせいかとても爽やかだった

「来たわね王子二人。見てたわよ」

『頑張って良かったです。なんですか?王子って』

そうだこの子は天然ボーイだった

そんな会話をしながら流れ落ちる血を拭き取ってテキパキと処置をして行く

「凄く早かったわね」

『でもテオには叶わないんです』

「テオ君も凄く早かったわ」

「ありがとうございます」

冷たく返された返事にもしかして私、この子に嫌われてるのかもしれないと感じた

『こいつ凄い人気者なんで一緒にいると大変なんです』と笑うミュン君においおい…あんたどんだけ鈍感なんや、と呆れているとテオ君もはぁと溜息を付いていた

テオ君も苦労してるなぁ…

『先生、赤ちゃんあとどれ位で産まれるの?』

「もうちょっとよ」

『名前は決まってるんですか?』

「…ううん、まだなの」

『そうですか』

もう、そろそろ決めなければいけないのはわかっているけれど旦那と話し合える時間が見つけられそうにないのだ

処置を終えるとミュン君とテオ君はお礼を言って自分のクラスのテントに戻った

誰もいなくなったテントの下で嫌なことを思い出してひとつため息を落とす

ここ最近、旦那の帰りが遅くなった

けれど連絡を入れればすぐに帰ってくる返信に安心しつつもどこか疑ってしまう心も無視できない

もうすぐで生まれるという大変なこの時期に余り不安にさせないで欲しいと思いつつも私の勝手な思い違いかと思うと聞いてみる事さえも気が引けてできない

「はぁ…忘れよう」

今は仕事中、そんなことは今は忘れよう

無理矢理気持ちを切り替えて目をあげると最後の種目、学年対抗リレーが始まる所だった

あ〜やっぱりミュン君とテオ君はいるわね、あ、それにジョングク君も!これはまた女子達が大騒ぎするわ…

案の定はしゃぎ始めるテント席の声にピストルの音が聞こえないのではないかと心配になった

案の定初めを知らせるピストルは聞き取りずらかった

走り出した第一走者目に三人の姿はなく、三年生はテオ君が三番目でミュン君が今度はアンカー

そして二年生はジョングク君がアンカー

隣同士に座っている彼らがちょっかいを掛け合っているのをみて微笑ましく思った

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作者名:nagi | 作成日時:2021年5月12日 15時

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