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「ヒョン…ヒョン!起きて、遅刻しちゃうよ!」

『ん…』

「Aヒョン!!もう!!
昨日まであんなにあっさり起きてたのになんで急に起きなくなっちゃったんですか!?」

ジョングクが大きな声で何か言ってる…

あれ、体が揺れてる…地震?

「もーぉー!!ホントに遅刻しちゃうよぉ…」

ジョングク…?なんでそんなに泣きそうな声…、遅刻?

『遅刻…!?』

掛け布団を勢いよく剥いで起き上がるとジョングクがまるで救世主が現れた時のような顔をした

「ひょぉん…やっと起きてくれましたね…!」

『何時!?』

「後五分でここを出ないと電車に乗遅れます」

『無理…!!』

ベッドから飛び降りて急いで制服に着替えながら歯を磨く

ジョングクはよく出来た弟で、僕の鞄に必要な物を詰めて靴まで用意してくれた

その甲斐あって僕らは起床五分以内に宿舎を飛び出て遅刻ギリギリの電車に駆け込むことが出来た

『はぁっ…はぁ、』

「はぁっ…ヒョン、こんなギリギリの寝坊なんてっ、久々ですね、」

『うん、僕もっびっくりだよ…』

満員電車の中息を乱してゼェハァしている僕を周りの人達は嫌そうに避けた

人に流されて逸れないように繋がれた手を握って小さな声で『電車から降りたらまたダッシュだね』と言うとジョングクは「懐かしいですね」と笑った

電車が学校の最寄り駅に着き扉が開いた途端僕らは全力疾走して校門へと向かう

「ヒョン、また生活指導の先生に怒られるね」

『やー…』

「あ、でもこの前みたいに保健室の先生がいたら助けてくれるかも」

『…先生はもう来ないよ』

「?」

校門が近づくと、懐かしい光景が見えてくる

仁王立ちして僕らが走ってくるのを確実に待っている

「ミュン!!最近マシになったと思っていたらまたか!?」

『ひぇえ…』

「ジョングク、お前は先に行っていいぞ」

「ありがとうございます!
ヒョン、ファイティン」

『ジョングガァ……』

首根っこを掴まれた僕はまた以前のように予鈴の鳴るギリギリまで説教をされ、やっとの思いで教室に辿り着く

「おはよう、また遅刻再開か?」

前の席のテオは心底楽しそうに僕をからかった

『おはよ
いや正直な、校門で捕まらなかったら普通に間に合うんよ…』

「言えてる」

腹を抱えて笑うテオが憎らしくて軽く背中を叩いてやった

「あ、そういえば聞いたか?」

『ん?』

「保健室の先生、産休だってさ」

『あー…知ってる』

「残念だな、お熱だったのに」

僕は静かに微笑んだ

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作者名:nagi | 作成日時:2021年5月12日 15時

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