Baby baby Don’t cry 3 (ページ12)

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少し前に先生に聞いたことがあった

『先生の旦那さんてどんな人なんですか？』

「良い人よ」

『イケメン？』

「うん」

『へぇ、見てみたいなぁ』

何となく、本当に見せてもらえるなんて思わずに言ったのに先生はミュン君になら見せてもいいわよ。なんて言ってスマホでその写真を見せてくれた

「一緒に旅行に行った時の写真なの」

『わぁ、イケメンだ…』

「でしょ？」

その顔を何故か目に焼き付けておきたくてじっと観察しているとふふと自慢げに微笑んだ先生を見て切ないような嬉しいようなよく分からない感情になった

あの時、旦那さんの写真を見せてもらって良かったのか悪かったのかは分からない

けれど、見ていなければこんなに腹が立つことも先生を憐れむことも無かったのに

あれは休みだったはずの練習が急に入った日だった

外は暗く、サラリーマン達は家に着く時間帯に僕達は事務所へと向かった

その行き道で見知った顔を見つけて思わず立ち止まった

『…えっ？』

前に先生にみせてもらった画面に写っていた人にそっくりだった

「A、どうした？」

『…いえ』

何より信じられなかったのが隣にいる人が女の人だったこと

その人と親しげに腕を組んで歩くその女は先生では無かったし似ても似つかなかった

いや、他人の空似だ。そう思って目をそらそうとした時に車のライトで光った指輪に目がいった

…一緒だ

先生と、同じデザインだ

確信した時にはその二人は所謂そういったホテルの中に消えていった

僕は、知っていた

先生の旦那さんが浮気をしていることを

先生が倒れた時に、校長先生が旦那さんに電話を掛けたけど出なかったそうだ

校長先生はこの後に予定があったみたいでその予定を蹴って先生に付き添おうとしていたので、僕が付き添います。と言って引かなかった

校長先生でもそこまでしてくれるのになんでアンタは電話にさえ出ないんだ

救急車に乗っている時も検査が終わってベッドで眠っている時もずっと、ずっと旦那さんの事が憎くて仕方が無かった

『先生、こんな事されてもまだ旦那さんの事好きなんですか？』

『僕なら…直ぐに駆けつけるのに』

『先生、すきです
…貴方の旦那さんより愛している自信があります』

どれだけ何を言おうと先生はすぅすぅと寝息を立てるだけだ

悔しくて堪らなくてベットに俯いて唇を噛み締めた

『僕がもっと早く産まれて先生に出逢ってたらなにか違ったのかな』

目を瞑り、きっと旦那さんは来ない

そう思った