＊ ページ32
・
「雨が上がって、よかったですね。」
大野刑事に、そう声を掛けると…ふにゃんと微笑って、俺を見た。
「はい。これ以上手掛かりが流れてしまうのは、惜しいですから。」
大野刑事は、俺の隣りに視線を移した。
「今日も、よろしくね。」
大野刑事の微笑みに…
安心した顔をして、俺の隣りを歩く君。
「………こちらです。」
大野刑事が指した先には…黄色いテープで封鎖された、事件現場があった。
「ランディ。」
大野刑事が、俺の傍へ屈み込む。
「これを、お願いします。」
大野刑事から差し出されたものを、じっと見つめた後…俺を見上げる、君。
その両目に、独特の光が射した。
「行っておいで。」
「ワンッ！」
規制線を越えて、現場へと足を踏み入れるランディの姿を…じっと見つめている、大野刑事。
大野刑事が、ランディの才能に気づいたのは…彼の飼い主だった柳井静江さんが、息子夫婦によって殺害された事件の時だった。
「………ワンッ！」
ランディの鳴声に、現場へと足を踏み入れる大野刑事を…俺は、その場で見守る事しか出来ない。
「ありがとう、ランディ。」
ランディの頭を撫でる、大野刑事を見て…この事件の解決が、見えた気がした。
・
三日後…
ランディが見つけた証拠のおかげで、事件が解決した…と、大野刑事から連絡があった。
・
「また、雨だね。」
俺の大親友で、我が『相葉動物病院』の受付兼診療助手・櫻井翔が…待合室の窓から、外を眺めて言った。
翔ちゃんの言葉に、窓の方へと目を向けたら…ランディが窓の傍に座り、外を見上げていた。
「何を、思ってるんだろうね。彼は…」
ランディの背中を、見つめながら…翔ちゃんが、呟いた。
彼が、何を考えているのかは…きっと、誰にも分からない。
だけど…
どんな時でも、俺は…ランディの隣りに、いたいと思う。
彼が、隣りを見上げた時…いつも、笑っていたいと思う。
「あ…晴れてきた。」
翔ちゃんの声に、窓を見ると…柔らかな日差しが射してきて。
ランディの尻尾が、ぷるんと動いた。
翔ちゃんを見ると、笑顔で一つ頷いてくれた。
「………ランディ。お散歩行こっか？」
・
《 後書き 》→←scene 11：『雨上がり』（M.Aiba）
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愁(ｼｭｳ)(プロフ) - 舞花さん» サスペンスとか、ミステリーを書くなら、注意書きして書きますけど…短編なのでね。（苦笑） なんだかんだで、無事（？）12人書き終えました。雨に濡れた健二郎さんが浮かばなければ、始まらなかった短編集。健二郎さんに、感謝です。（笑） (2017年11月8日 20時) (
レス) id: 2a9117ff92 (このIDを非表示/違反報告)
舞花(プロフ) - 愁(ｼｭｳ)さん» そうなんですね(笑)それに歪む顔が見たいとか？(笑)萌えます(≧∇≦*)逝っちゃうと確かに出しにくいですね(笑) (2017年11月8日 20時) (レス) id: 06beefc88f (このIDを非表示/違反報告)
愁(ｼｭｳ)(プロフ) - （続き）岩ちゃんの先輩…三代目の中からにさせて頂こうかと思いましたが…逝ってしまうポジションなので、ちょっと限定しづらくて…ぼやかしました。（苦笑） (2017年11月8日 20時) (レス) id: 2a9117ff92 (このIDを非表示/違反報告)
愁(ｼｭｳ)(プロフ) - 舞花さん» 舞花さん。早速、ありがとうございます！m(_ _)m なんだか、こんな感じに仕上がってしまいました。（苦笑） 根っからのドSな私。好きな俳優さんには、切なさ・悲しみ・苦しみを演じて欲しくなる性分なんです。(^_^;) (2017年11月8日 20時) (レス) id: 2a9117ff92 (このIDを非表示/違反報告)
舞花(プロフ) - 愁さん、こんばんは(^^)うーん、切ない…岩ちゃん、切ないぞ。でも切ないのが岩ちゃんには似合ってるんですよね。岩ちゃんの先輩は誰だったのだろうって思いました(o^^o) (2017年11月8日 20時) (レス) id: 06beefc88f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：愁(ｼｭｳ)
作成日時：2017年10月3日 1時
