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「何が? 何が、ダメよ?」
「ダメに決まってるでしょうよ。俗に言う“頭ポンポン”じゃない、それ。」
「…へっ?」
「これだから、全く…」
ニノは、呆れたように微笑(わら)って…ビールのグラスに口をつけた。
「まぁ…さ。そういうトコが、潤くんらしいトコなんだけどね。」
「何だよ。“俺らしい”…って。」
「無自覚で、女子の気持ちを鷲掴んじゃうトコですよ。」
「鷲掴んじゃう…って……」
「“頭ポンポン”なんて、テッパンのシチュエーションだっつ〜の。」
「そう、かも知んないけど…」
「知んないけど? ……何?」
「何かさ……すげぇ、一生懸命でさ。頑張ってるなぁ…って、さ。」
「役者一年目でしょ? 頑張ってるんだろうね。」
「うん。だから、何かさ…」
「気になっちゃう訳ですか。」
「………ん。」
「歯切れ悪っ!」
ニノは…そう言って微笑(わら)いながら、グラスに口をつけた。
「まぁ…頑張ってよ。」
「うん。ニノも、映画撮ってるんだろ?」
「ん。撮ってる、撮ってる。」
「頑張って。」
「はいよ。」
俺達は、改めてグラスを合わせた………
・
・
ニノと食事に行ってから、一週間後。
今回の映画が、クランクアップした………
・
打ち上げで、彼女……毱村さんは、号泣していた。
・
「毱村さん、お疲れ様。」
「松本さん……」
「泣き過ぎ。(笑) はい。」
「あ…ありがとうございます……」
毱村さんは…俺が差し出したハンカチで、涙を拭った。
「松本さんと、またご一緒出来るように…頑張ります。本当に、ありがとうございました!」
「うん…楽しみにしてる。ありがとう。」
・
約一年後………
映画の公開も、無事に始まり…
時期を同じくして…
彼女との、連続ドラマでの共演が決まった。
ドラマの役作りの為の資料探しに、大型書店を訪れた帰り。
店を出た途端…突然の雨に、足止めされる。
「今日、雨って言ってたっけ?」
「急に、降り出しちゃいましたね。」
左側からの突然の声に、顔を向けると…
「Aちゃん…⁉」
「こんにちは。」
Aちゃんの笑顔が、そこにあった……………
・
《 後書き 》→←scene9:『優しい雨』(J.Matsumoto)
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愁(シュウ)(プロフ) - 舞花さん» サスペンスとか、ミステリーを書くなら、注意書きして書きますけど…短編なのでね。(苦笑) なんだかんだで、無事(?)12人書き終えました。雨に濡れた健二郎さんが浮かばなければ、始まらなかった短編集。健二郎さんに、感謝です。(笑) (2017年11月8日 20時) (レス) id: 2a9117ff92 (このIDを非表示/違反報告)
舞花(プロフ) - 愁(シュウ)さん» そうなんですね(笑)それに歪む顔が見たいとか?(笑)萌えます(≧∇≦*)逝っちゃうと確かに出しにくいですね(笑) (2017年11月8日 20時) (レス) id: 06beefc88f (このIDを非表示/違反報告)
愁(シュウ)(プロフ) - (続き)岩ちゃんの先輩…三代目の中からにさせて頂こうかと思いましたが…逝ってしまうポジションなので、ちょっと限定しづらくて…ぼやかしました。(苦笑) (2017年11月8日 20時) (レス) id: 2a9117ff92 (このIDを非表示/違反報告)
愁(シュウ)(プロフ) - 舞花さん» 舞花さん。早速、ありがとうございます!m(_ _)m なんだか、こんな感じに仕上がってしまいました。(苦笑) 根っからのドSな私。好きな俳優さんには、切なさ・悲しみ・苦しみを演じて欲しくなる性分なんです。(^_^;) (2017年11月8日 20時) (レス) id: 2a9117ff92 (このIDを非表示/違反報告)
舞花(プロフ) - 愁さん、こんばんは(^^)うーん、切ない…岩ちゃん、切ないぞ。でも切ないのが岩ちゃんには似合ってるんですよね。岩ちゃんの先輩は誰だったのだろうって思いました(o^^o) (2017年11月8日 20時) (レス) id: 06beefc88f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:愁(シュウ)
作成日時:2017年10月3日 1時