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「まあ構わないとは言いましても…
悔しいことに、Aさんって僕にとってもそこそこ大事な女性なんですよ。女としての魅力は微塵も感じませんが。
だから…まあ、阿鳥さんに限ってそんなことはないと思いますけど、一応言っておくと…
もしAさんを丁度良い遊び相手にと思っているなら、欲のままに動いて傷付けるようなら、彼女のためにも身を引いていただきたい」
「っ！」
大外は、直前までへらへらと「僕は一向に構わない」と言っていたときの表情とは打ってかわって、少しの厳しさを纏った視線を阿鳥に向けた。
「…っ、俺は、そんな…」
阿鳥は否定しようとするも、昨晩の行動を思い出してか、少し後ろめたそうな顔をした。
「……」
一方Aは、大外を見つめていた。
(それ、欲のままに動いて女性を傷付けていた張本人の貴方が言うことなの？)
彼の生前の行動と今の言葉には、清々しいほどの矛盾があった。
それに、阿鳥が見境なく女体を貪るような男ではないことをAに伝えたのは大外本人である。
けれどAは、彼がその矛盾を誰よりも自覚していること、過去の自分のあり方は本来あるべき姿ではないと気づいていること、阿鳥を信じていながら確証を求めているだけだということ。
そして何より、自分を守ろうとしてくれているのだということが痛いほどわかった。
(…それほどまでに、心配してくれるのね)
可愛い弟分だわ、と心の中で呟いた。
「…昨日のことは、言い訳は出来ません」
しばらく黙って俯いていた阿鳥が、そっと話し始めた。大外もAも黙って聞く。
「…確かに俺は昨日、どうしようもなく茜様…いえ、Aさんが欲しくて、襲ってしまった。
自分でも驚いてます、あれほどまでに身体が女性を求めたのは初めてのことだったので…。
けれど、それは半端な思いなんかじゃなかった。昨日話していくうちに、俺はAさんに惚れてしまったんです。
こんなに好きなのにAさんには大外様という彼氏がいる…そう思うと、辛くて、苦しくて。
どうせ叶わない恋ならば、酷く酔っていたことを理由にして一度だけでも想いを遂げたかった。
理性の欠片も残っていない頭で動いて、もうどうにでもなってしまえ、と思っていたんです。
もちろん、朝起きて自分のしたことがどれだけ最低なことか考えて後悔しました」
ぽつりぽつりと語る阿鳥の言葉は、Aの渇いた心にまるで化粧水のように染み入っていった。
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更紗(プロフ) - おもちさん» 温かいコメント、そして作品を読んでくださりありがとうございます！すごく嬉しくて気づいたときちょっと泣きそうになりました(T_T) お好みに合うのであれば幸いです♪今後も緩くですが頑張りますので、引き続き楽しみにしていただけると嬉しいです^^ (2022年7月31日 2時) (
レス) id: a475ea03b6 (このIDを非表示/違反報告)
おもち - SEECさんの作品で短編集なんてなかなか見ないものなので、読み始めたのですが、この甘ったるすぎない少し甘酸っぱい雰囲気がとても好きになりました！応援しております、これからも無理しすぎないように更新頑張ってください！！ (2022年7月27日 21時) (レス) @page13 id: 19c9f4b836 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：更紗 | 作成日時：2021年7月28日 23時
