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「すみません…助けていただいただけならず、こんなお見苦しいところをお見せしてしまい…」
しばらくして泣き止むと、彼女は我に返ったかのように頬を染め俺に謝った。謝られる筋合いなんてないと思った俺は慌てて否定する。
「いやいや、見苦しくなんてないさ。Aさんの受けた苦しみを思うと全く足りないくらいだ。
……これから、貴女はどうするんだ？」
「………」
俺がそう問うと彼女は俯いてしまい、光のなかった瞳がより一層闇に包まれた。
「……当然ではありますが、お店は首になりました。
代わりに、オーナーのご友人が経営される娼館に移していただくこととなるそうです。」
「…っ！？娼、館…」
酷い仕打ちだ。これが、裏の世界なのか。権力や金が絡むと、人はこうも容易く無慈悲になれるのかのか。
「…ええ、ここから少し離れたところにあるお店です。
あんなことをしてしまったのにまだ面倒を見ていただけるなんて、ありがたいと思わなければなりません。
けれど…あの方お一人を拒否してしまったが故にこれから多くの男性の身体のお相手をすることが仕事になるのだと思うと、なんといいますか…。私って、忍耐が足りませんわね。いつも容量が悪くて、自分の首を絞めてしまうんですの。
もう、疲れてしまったような気もしておりまして…このまま怪我が治らなければ、死んでしまえれば、なんて。うふふ」
「…そんな、こと…」
否定したかったが、彼女の虚ろな作り笑いと全てを諦めたような声色が言いようもなく怖く、また、無責任な同情が刃になる場面であることもわかったため、言葉は喉の奥で消えてしまった。
「……」
「充様、大変失礼をいたしました。こんな私の身の上話などをお聞かせしてしまって、憐憫の情を催促しているみたいになってしまいますわ。せっかくこのためにお店に通ってくださったのに、こんなことしかお話しできず…
…けれどもうお会いすることもないのですから、さいごだと思ってお許しくださいましね」
「…さいご」
さいご、最後、最期。彼女の意図した意味がどちらなのかはわからなかったが、俺には後者に思えて仕方なかった。
(…Aさん、やっぱり死のうとはしていないか)
彼女は立ち上がり、軽く身なりを整えながら俺に返事をする。
「…ええ、さいごです。だからどうか聞き流してください…
貴方ほど優しくて、信頼できて、私自身を見てくださる人なんてこれまでいなかった。私、充様に出会えて本当に幸せでした。」
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更紗(プロフ) - おもちさん» 温かいコメント、そして作品を読んでくださりありがとうございます！すごく嬉しくて気づいたときちょっと泣きそうになりました(T_T) お好みに合うのであれば幸いです♪今後も緩くですが頑張りますので、引き続き楽しみにしていただけると嬉しいです^^ (2022年7月31日 2時) (
レス) id: a475ea03b6 (このIDを非表示/違反報告)
おもち - SEECさんの作品で短編集なんてなかなか見ないものなので、読み始めたのですが、この甘ったるすぎない少し甘酸っぱい雰囲気がとても好きになりました！応援しております、これからも無理しすぎないように更新頑張ってください！！ (2022年7月27日 21時) (レス) @page13 id: 19c9f4b836 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：更紗 | 作成日時：2021年7月28日 23時
