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「大体なんなのかしらね…ん…
言い寄られて付き合って、こんなにいつも振られるなんて…はぁ…」
「男運がないんじゃないのかい。もっとも、Aさんに問題がないとも言いきれないけどね。
それよりその声やめてくれ…耳に悪すぎる」
「だから何のことよ、わからないわ…」
Aはコンッとグラスを置き、頬杖をつく。
(この女…本当に乳以外は完璧なのにな)
あまりにも絵になるその様を見て、大外聖生はそう思った。
「そもそも君はどうしてここへ来たんだ?その感じだと、今日こそ教えてくれるんだろう?」
この日までの会話で大外は、彼女が生死の狭間に来た原因が痴情の縺れであることの察しはついていた。けれどこれほどまでに美しい女がどのようにしてそんな破滅の道を辿ったのか純粋に気になり、チャンスだとばかりに直球で尋ねた。
「…酒よ。彼氏に振られてやけ酒して、急性アル中。
今回はまだ、3ヶ月もったのよ…?過去最長よ。
あんまり自分で言いたくはないけど、私モテる方だと思うの。けど何故だか飽きられるのも早くて、長く付き合えたことなんてなかった。
合コンで初めて会った2年前から私のこと好きって言ってくれてたんだけど、またすぐ飽きられると思うとどうも恋愛する気になれなくて…。
けど、何度交際をお断りしてもずっと好きでいてくれるのが少しずつ嬉しくなって、7回目で私が根負けして付き合うことになったの。…こんなにあしらっても慕ってくれる人なら、本当に私のこと大切にしてくれるんじゃないかなって思って。
それなのに、あの人は私を切り捨てたのよ!2年間恋愛相談に乗ってくれてたっていう女の子に告白されたら、コロッと行っちゃって…
"俺はこいつを裏切れない、だからごめん。俺のことは諦めてくれ"…ですって。元は特に好きじゃなかった訳だから諦めるも何もないのに、無性に虚しくて寂しくて…あとはお察し。
笑っちゃうわよね、3ヶ月で最長なんて。
私との恋って連続ドラマか何かなの?
3ヶ月持たないことがほとんどなこと思えば、それすら大半打ち切りな訳だけど……はあ…んっ」
話し終えて、Aは一気に酒をあおった。
(…なんか、似た話をどこかで聞いたな)
大外は慣れない焼酎をちびちびと飲みながら話を聞いていたが、話し終えたAの目に涙があるのに気付くとAの隣の席に移り、慰めるように彼女の肩を優しく抱いた。
「…あら、優しいのね」
「勘違いするな、僕は美しい女性なら誰にでもこうするから」
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作者名:更紗 | 作成日時:2021年1月22日 15時