検索窓
今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:10,849 hit

8 ページ38

土曜日曜と外出を控えて養生すると、私の体調は完全に元の通りになった。

そうして迎えた、月曜日の朝。

学校に行くため、てきぱきと動いて登校の準備をする。
朝食を両親と揃って食べられたことも嬉しく、いつもより順調に朝が進んだ。

いってきまあす、と声を張り上げて玄関を出て、門を開けた。

両親の"いってらっしゃい"が新鮮でこれまた嬉しく、私は軽い足取りで道へ駆け出した。すると、また別のところから声がかかった。

「ちょ、ちょっと待ってよAちゃん!何で先に行っちゃうの…?
悠真ももう少しで準備終わるから、三人で一緒に行こう…!」

声の主は、隣の家の玄関にいた。同い年くらいの女の子。私と同じセーラー服を着ているが、準備が終わっていないのか胸にスカーフがない。

「…?」

ぽかんとして彼女を見つめる。私は、彼女を知っていただろうか?

「真依ちゃんおはよ!わかった、ここで待ってるねー!

…!?」

口が先に動いてしまって戸惑った。
が、そうだ。私は彼女を知っている。幼馴染の、相良真依だ。

私は一人で学校に行くものだと思ってたのだけど、よくよく思い出したらそうではなかった。どうしてこんな簡単なことを忘れてしまっていたのだろうか。

(三人で……)

あまりに実感がなく、少しの間呆けてしまった。


そうこうしている間に、真依ちゃんは男の子を伴って家から出てきた。

「Aちゃん!待たせてごめんね」
「…A、はよ」

低血圧なのか少し気だるげにそう言った彼は、真依ちゃんの双子の兄の相良悠真。

彼のことも知らないつもりだったが、先ほど真依ちゃんから聞いた"悠真"という名前は驚くほどすんなり入ってきた。

「ううん!全然。学校、行こっか」

二人と合流して、三人で通学路を歩く。
ああそうか。これが、私のいつものルーティンだ。何で忘れていたんだろう。


「そうだAちゃん、聞いてよ!

悠真が、変な夢見たって言うの!」

「変な夢?」

「そう。何でも、皆がいない夢だって…」

「…そう」

「真依も、母さんも父さんも、誰もいなかった。
でも俺が捨てられる夢って訳じゃなくて、最初の最初から誰もいなくて…誰か別の人に育てられる夢だったよ」

9→←7



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (23 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
22人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:更紗 | 作成日時:2021年1月22日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。