_ ページ9
.
ち、近い…。楽しそうに様子見してくる翔太が憎い。
いつの間にか形勢は逆転していて、ソファーの背もたれに手をかけられ逃げ場を失ってしまいかなりまずい状況になっている。
壁ドンならぬソファードン。言いづら。
「……ずるい」
「なにが？」
「ずるいんだよこのビジュアル整いが！！」
「怒ってるのか褒めてるのかどっちなんだよ」
「とにかく今じゃない！寝起き丸出しすっぴん女と爽やかな風吹くビジュアル整いのこの図、釣り合ってない。戦うなら正々堂々と勝負しろ！」
「…あたま無事か？」
そう言って心配そうに頭を撫でられた。
さらっと撫でるな撫でるな私、負けるな負けるな
「勝負は次回に持ち越させていただきます」
「…おし、俺のせいだなごめん。ゆっくり寝ていいから」
半ば強引に毛布をかけられソファーでまた寝かされる。
なんか引かれててワロタ逆に嫌われちゃうかも。
はぁ、いっそ嫌ってくれた方ががいいのかもしれない。
謎に意地を張って素直に好きと返せない自分が無理すぎて涙が出てくる。
髪を乾かし終わって戻ってきた翔太に「Aー、寝た？」って声をかけられたけど起きているのも、泣いているのもバレないように背を向けて寝たフリをした。
「マジで寝たんかい(笑)」って見事に騙された翔太はそのままドサっと床に腰を下ろしてから語りかけるように話を続けた。
「…こんな風でしか攻められないのダサいよなー。でもAが本気で考えてくれてるっぽくて嬉しいよ。多分、だけど」
「もう誰にも奪われたくないからさ頑張るわ、俺」
すみませんけど世界でいちばん幸せになってもいいですか？
私のこと大好きじゃん。ドッキリ？隠しカメラとかない？
「よく分かんねえけど言われた通り正々堂々と勝負するわ。……A動きすぎな。起きてんだろメシ食うぞ」
寝ずに聞いてたのバレてんのかい。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 827人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：無色透明 | 作成日時：2023年11月23日 22時
